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Aがローに真相を確かめることが出来ないまま1ヶ月が経った。
一度だけローに会いにヴォルフを訪ねると、家にはあの喋るシロクマが増えていて、すっかり元気そうな姿に安心した。
しかし、それだけ。
肝心の嫌な可能性を、ローに確かめることは出来なかった。
もやもやと心の中で大きくなる不安を拭いきれないAを、さらに不幸が襲う。
「まだ38度2分…結構高いな。」
「おでこの濡れタオル変えるぞ。」
今朝起きてみれば、なんだか体が重たくて頭がぼーっとしていた。
その様子を妙に思ったシャチがAに体温計を咥えさせてみれば、かなりの高熱をたたき出す。
慌ててシャチがAをベッドに寝かせて濡れタオルをつくり、ペンギンが少々慣れない手つきで粥をつくる。
「ごめん…今日、買い出しに行くつもりだったから……食料が何も…。」
「そんなの気にするなよ!! 一日分くらい自分たちでどうにかするから!!」
「そうだぞA!! 粥とスープ作ったから、食べられるときに食えよな。俺たちは狩りに行ってくるよ。」
申し訳なさそうに言うAに、少し怒ったようにシャチとペンギンが言う。
彼らは町にはおりたがらない。
それをAはわかった上で、受け入れている。
しかし、そのため頼るあてもなく、薬を買いに行くことは難しかった。
ただ彼女を看病して、彼女自身の回復力に頼るしかない。
せめて彼女に世話を回させないこと。
それだけを念頭に、2人は狩りに行く準備を始めた。
「2人とも、気をつけてね。」
「見送りなんかいいよA…!」
「一言見送るだけで事故が減るんだよ…。」
玄関で2人を見送るAにシャチが寝てろと言うが、彼女はそんな彼の頭を撫でて言った。
「ペンギンも」と言って、彼の方の頭も撫でる。
それに少し照れくさそうにして、シャチとペンギンは出かけて行った。
2人を見送ったAは重たい体を引きずって、ベッドに潜り込む。
「……静か………凪みたい…。」
ぽつりと呟いて目を閉じると、すぐに眠気に襲われて、Aは眠りについた。
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私が生きていることが、復讐になる。
だから、どう思われようと、どう扱われていようと構わない。
どうせ、1人では生きていけないんだ。
きっと…必ず…お前を受け入れてくれる場所がある…!!
生きることを復讐にするな!!!
自分の自由のために生きろ!!!!
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懐かしい夢を見た気がした。
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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時