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「A、こっちに酒2つ!!」
「はい!!」
「こっちにも頼むよAちゃん!!」
「はーい!!」
飛び交う町の男達の声に、叫ぶように返事をしながらAは酒場の中を走り回っていた。
プレジャータウンで一番活気のあるその酒場は、老人から若い男まで、町中の男が集まってくる。
彼らの目当ては皆同じ。
「A、今度デートしないか?」
「遠慮しておく。はい、ご注文のお酒とおつまみのソーセージ。」
「Aちゃん、ヴォルフに今度うちの風呂の調子見てくれんかのう…。時々水が出るようになってしもうたんじゃ…。」
「えェ!? 一大事じゃないの!! 私の子電伝虫貸すから今電話しなおじいちゃん!!」
「Aちゃん、今朝釣ったんだけど大量だったもんでな!! 1匹持っていけよ!!」
「嬉しい!ありがとう!」
齢15歳ながらも、スラッと伸びた背。
ぱっちりと開いた真紅の瞳。
幼さは残るが、整った顔立ちに加えて明るく面倒見の良い性格のAは、無条件で人を惹きつける。
「人気者じゃのうA!」
「ヴォルフ!」
その時、酒場の入口の方から聞き覚えのある声がして振り向けば、真冬に似つかわしくないアロハシャツにコートを1枚羽織っただけの老人の姿があった。
Aは店主に早めの休憩を貰うと、ヴォルフと話すために酒場の裏にまわった。
「昨日、ローが来たの。助けてくれたお礼を言いに。」
「そうかそうか!初めは、出会った頃のお前にそっくりでどうなることかと思ったわい!」
「からかいに来ただけなら、私もう戻るけど。」
「待て待て!1つ報告しておこうと思って寄ったんじゃよ!」
「報告?」とAは店内に戻ろうとした足を止めて振り返る。
ウォッホン、と1つ咳払いをして、ヴォルフは少し嬉しそうに告げる。
「ローをうちに置くことにしたんじゃ。賑やかになりそうじゃわい。」
「…そう……!」
「またローと話してやってくれ。」
ずっと1人で町の外れにすんでいたヴォルフ。
その報告は彼を大切に思うAにとっても嬉しいものだった。
「また、遊びに行く。」
「何時でも来い来い!」
豪快に笑っていうヴォルフを見て、Aは優しく微笑んだ。
微笑んだAを見て、ヴォルフは安心したような顔をすると家に帰ろうと森の方へ歩いていく。
「あっ、そういえば…靴屋のおじいちゃんのお風呂が壊れたんだって。見てってあげて。」
「この真冬の島で風呂が!? そりゃすぐ行ってやらんと!!」
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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時