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「…その海兵さんが、生きることを復讐にするなって言ったんだ。その時は色々揉めたけど、その人は私がやり直せるように、海賊団を抜ける手引きをしてくれた。
…あの人から、私は人生を貰ったの。恩人…私の、大切な人。」
そこまで言い終えたAの真紅の瞳には、涙が溜まっていた。
その瞳はヴォルフを捉えている。
「……ごめん、ヴォルフ。この町が一度、海賊に酷い目に遭わされたって聞いて…ずっと言えなかった。私がどう思っていようとも、私は確かに海賊だった。」
泣きそうな顔で、そう言うA。
ヴォルフはそんなAの頭を優しく撫でた。
彼女がいつも、ロー達にするように。
「そんな鉄砲玉のような娘が、こんなに笑うようになったんじゃ…何も言うまい。お前を海岸で拾った時…わしがこの家にいてもいいと言ったのに、それを気にして出ていったのか。」
「…っ!!」
その言葉にAは頷きながら、堰を切ったように泣き始めた。
そんな彼女を、いつか自分達にしてくれた様にペンギンとシャチはぎゅぅ、と強く抱きしめる。
「…お前がどんな人生送ってようと、俺や2人を助けた事実が無くなるわけじゃないだろ。」
その様子を見て、ローが言った。
その言葉に、さらにAは涙を溢れさせる。
それをベポは懸命にタオルで拭った。
「俺、Aが泣いてるの見るとつらいよ。」
「馬鹿、ベポ…Aのそれは嬉し涙だよ。」
──────
───
─
翌朝、その日仕事だったAとローは自転車に乗って町へ向かっていた。
Aの自転車はヴォルフが怪我をしたためにまだ直っておらず、また彼女はローの自転車の荷台に乗っていた。
その日は珍しく雪が降っておらず、朝から太陽が顔を覗かせる。
風が2人の頬を撫でて、Aの真紅の髪が靡く。
「…ロー、私に聞きたいことがあるんじゃない?」
そう尋ねれば、ローの肩が揺れた。
ローは酷く小さな声で問う。
「…お前…出身は?どこの海賊団にいた…?」
「……
スパイダーマイルズ。
ローはその町の名前に聞き覚えがあった。
自身の故郷、フレバンス王国近隣の国。
そして─────…
「…私がいたのは、ドンキホーテ
かつてロー自身も所属していた、ドンキホーテ
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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時