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畑のほうに駆けていくAを、4人は追いかけた。

こういう時のAの予感はよく当たる。

ローを助けた時も、隠れてイタズラを仕掛けようとして失敗した時も…Aはいつも「そんな気がしたの」といっていた。



「…!! 皆、あれ…!!」



Aが指さす方を見れば黒い煙が上がっていた。

彼らは走るスピードをあげた。

雪に足を取られそうになりながらも、懸命に。

そして煙の立ちのぼる場所に出て見えたのは、信じ難い光景だった。



「ヴォルフ……!!?」



血を流して倒れるヴォルフの姿。

近くには黒い煙をあげている原因、飛行機のようなものが崩れていた。

彼らは急いでヴォルフの元に駆け寄る。

そしてローは直ぐに診察を始めた。

傷、出血量、脈拍、呼吸…ローの顔が段々と険しくなっていく。

しかし、意を決した様な顔で、ローはほかの4人に指示を出し始めた。



「じいさんは俺が運ぶ!!

ベポ!湯を沸かしておいてくれ!! ペンギン!じいさんを寝かせる手術台の準備を!! シャチ!お前は俺の手術道具一式を出して置け!! A!麻酔の準備を頼む!!」



ローの指示に彼らは震える声で「了解…!!」と答えると、4人は急いで家の中に戻って準備に取り掛かった。

Aは、1体1の鍛錬を受ける代わりに、以前ローに教えてもらったように麻酔を準備する。

ドクン…ドクン…とうるさくなる拍動。

心臓はそうやって存在を主張するくせに、生きている心地がしなかった。



(敵と相対した恐怖より、大切な人が死ぬかもしれないことの方がずっと怖い。)



思い出すのはシャチとペンギンが、イノシシに襲われて酷い怪我をした時のこと。

Aは真紅の瞳からぼろぼろと大粒の涙を流す。

しかし、決して作業の手は止めなかった。

戻ってきたローを手伝って、ペンギンの準備した手術台にヴォルフをのせて、用意した麻酔薬をローに渡す。

シャチやベポの方も準備は整い、いつでも手術は始められる。



「じいさんの怪我、どれくらい酷いんだ…?」



シャチが不安げにそう尋ねるが、ローは何も言わない。

しかし、それだけで4人は十分察することが出来た。



「そこにいるのは、ローか…。」

「とりあえず今は喋るな。大人しく眠ってろ。」



その時、ヴォルフが微かな声をこぼす。

ローは平静を装うようにそう告げたが、Aには彼の不安が手に取るように感じとれた。

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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時

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