検索窓
今日:18 hit、昨日:0 hit、合計:51,595 hit

4-6 ページ23

事件の処理はラッドが引き受け、ロー達は大勢の人達に見送られて町を出た。

朝と同じようにバギーに乗って、家へと帰る。

Aはすっかり疲れた様子で、最後列の座席で眠っていた。



「Aとはさ、スワロー島の一番綺麗な浜辺で出会ったんだ。」



バギーに揺られながら、口を開いたのはペンギンだった。

続いて、シャチも懐かしそうに思い出す。



「大事そうにあの赤い刀を抱えて、ずっと海を見てたんだ。」

「でも海風になびくあの赤い髪が綺麗でさー…。初めは怖かったんだけど、だんだん話していくうちに優しい奴なんだなぁ、って。」

「あの男の家にいた時は、町に近づくなって言われてて…会えなかったけど、逃げた先にちょうどAがいて…。開口一番なんて言ったと思う?“無事でよかった”だぜ?」



あいつと友達になれて、良かった。

ペンギンがそう呟くと、シャチもうんうんと頷く。

2人の話を聞いて、ローとベポはいつものAの様子を思い出す。

騒ぐ自分達をげんこつで叱る姉御肌のような面と、笑って頭を撫でてくれる優しい一面。

そして、人の為に泣いて、頑張れるそ温かな心。

ローはそのAの心が好きだった。



──────
───




それから、ロー達の生活は随分と忙しくなった。

Aは元から酒場で働いていたから、余り変わらなかったが、疲れて帰ってくる4人の世話をよく焼いていた。

だいぶハードだったが、彼らは自分の勉強や修練をこなす時間もちゃんと作った。

シャチとペンギンはローとAのおかげでだいぶ上手く剣や銃を扱えるようになっていたし、ベポは航海術だけでなく拳法の練習まで始めてしまった。

ローは以前Aに負けたのがよほど悔しかったのか、1体1で剣術や体術を挑んでいた。

しかし、まだやっと5回に1回勝てるくらい、それほどの実力差があった。



「なんでそんなに強いんだよ…!」

「殺伐とした2年のおかげか…ヴォルフとの鍛錬を続けた4年のおかげか…。」

「その2年…何があったんだよ。」



ローは以前抱いた疑問をぶつけた。

あんな殺気を身につけてしまうほどの、彼女の過去は一体どんなものなのか。

その2年で何があったのか、と。



「…知りたいの?」

「気にはなる。」

「……私もあるよ。気になること。でも、まだ時期じゃない。最近は一度にたくさんのことが起こりすぎだ。

……またいつか、話してあげる。」



そう言うAの瞳は、どこか儚げだった。

第5話牴舷佑魑澆─究極の能力瓣←4-5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
91人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。