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事件の処理はラッドが引き受け、ロー達は大勢の人達に見送られて町を出た。
朝と同じようにバギーに乗って、家へと帰る。
Aはすっかり疲れた様子で、最後列の座席で眠っていた。
「Aとはさ、スワロー島の一番綺麗な浜辺で出会ったんだ。」
バギーに揺られながら、口を開いたのはペンギンだった。
続いて、シャチも懐かしそうに思い出す。
「大事そうにあの赤い刀を抱えて、ずっと海を見てたんだ。」
「でも海風になびくあの赤い髪が綺麗でさー…。初めは怖かったんだけど、だんだん話していくうちに優しい奴なんだなぁ、って。」
「あの男の家にいた時は、町に近づくなって言われてて…会えなかったけど、逃げた先にちょうどAがいて…。開口一番なんて言ったと思う?“無事でよかった”だぜ?」
あいつと友達になれて、良かった。
ペンギンがそう呟くと、シャチもうんうんと頷く。
2人の話を聞いて、ローとベポはいつものAの様子を思い出す。
騒ぐ自分達をげんこつで叱る姉御肌のような面と、笑って頭を撫でてくれる優しい一面。
そして、人の為に泣いて、頑張れるそ温かな心。
ローはそのAの心が好きだった。
──────
───
─
それから、ロー達の生活は随分と忙しくなった。
Aは元から酒場で働いていたから、余り変わらなかったが、疲れて帰ってくる4人の世話をよく焼いていた。
だいぶハードだったが、彼らは自分の勉強や修練をこなす時間もちゃんと作った。
シャチとペンギンはローとAのおかげでだいぶ上手く剣や銃を扱えるようになっていたし、ベポは航海術だけでなく拳法の練習まで始めてしまった。
ローは以前Aに負けたのがよほど悔しかったのか、1体1で剣術や体術を挑んでいた。
しかし、まだやっと5回に1回勝てるくらい、それほどの実力差があった。
「なんでそんなに強いんだよ…!」
「殺伐とした2年のおかげか…ヴォルフとの鍛錬を続けた4年のおかげか…。」
「その2年…何があったんだよ。」
ローは以前抱いた疑問をぶつけた。
あんな殺気を身につけてしまうほどの、彼女の過去は一体どんなものなのか。
その2年で何があったのか、と。
「…知りたいの?」
「気にはなる。」
「……私もあるよ。気になること。でも、まだ時期じゃない。最近は一度にたくさんのことが起こりすぎだ。
……またいつか、話してあげる。」
そう言うAの瞳は、どこか儚げだった。
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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時