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第1話狎屬ぞ女 ページ3

「どこだ、ここ。」



暖炉があり、暖かい部屋。

そこにあるベッドの中で、少年…ローは目覚めた。

状況を理解できずに困惑していると、部屋の扉が開いた。



「おう、やっと起きたか。」



入ってきたのは見知らぬ老人。

この家の主だろうか、その老人はこの冬の島にはふさわしくない真っ赤なサンバイザーとアロハシャツ、さらには短パンにサンダルといった真夏のような格好をしていた。



「腹が減っとるじゃろう。」



その老人はローの警戒に気づいてか気づかずか、温かく美味しそうなスープを差し出した。

しかし、ローはそれを口にせず、メスを手に取って老人の背後に回ってそれを突きつける。



「何が狙…」

「お前こそ、何してる。」



何が狙いだ。

そう聞こうとした時、ローの背を冷たいものが伝った。

老人の喉元に突きつけたメスを思わず床に落とす。

振り返れば、髪も瞳も真紅の少女が自身の首筋に刃も柄も鍔も全てが暗赤色の刀を突きつけていた。

そのせいか、彼女を見て抱いた印象は───…



(……赤…。)



その1つだけ。

思わず口から出そうなそれを、ローは飲み込んだ。

俺だって真っ白なんだから、と。

その赤い少女は刀を鞘に納めると、ローの首根っこを掴みあげて床に放った。

背中に感じた痛みにローは顔を歪める。



「やめんかA。」

「でも、ヴォルフ…!」

「お前さんが助けてくれと運んできたのに殺す気か。」



A、と呼ばれた赤い少女。

ヴォルフ、と呼ばれた老人。

彼女が自分を運んできたことにローは驚きながらも、彼女の手には多くの果物が抱えられていることに気づいた。

どれも風邪をひいた時、母が食べさせてくれたものだと思い出す。

そのローの顔を見て、Aはため息をつくとローの腕を引いて体を起こした。



「…悪かったよ。あんたの体冷え切ってた。早くヴォルフのスープを飲んで、温まった方がいい。」



Aがそう言うと、ヴォルフが「ほれ」とスープとスプーンをローに差し出した。

コンソメだろうか、茶色っぽいスープには肉と色とりどりの野菜が入っている。

それはいとも簡単にローの食欲を刺激した。

しかし、ローは手をつけない。

恐れているのだ。

彼女達がもしかしたら自分に危害を加えるのではないか、このスープに変な物が入ってやしないかと。



「他人が、信じられんのだな。いつぞやの誰かを見ているようだ。」



そう言うと、ヴォルフはローの目の前でスープに口をつけた。

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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時

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