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「母が病に倒れ、Aはゴミを漁って生きるようになりました。母に良くなって欲しい一心で、食べ物を盗むこともしました。それでも、母はAが9歳の時に…死んでしまいました。
……それから2年、彼女は殺伐とした生活を続けていました。しかし、1人の海兵さんと出会って彼女はこのスワロー島にやってきました。その彼女は今、1人の老人と4人の仲間たちと共に、楽しく暮らしています。」
そこまで言うと、Aはいつもの様にロー達に明るく笑いかけた。
どんなに辛い過去があろうとも、自分を愛してくれる人は必ずいるのだと言うように。
「…さぁ、ロー。私は勇気を出したよ。」
Aの言葉に、ローはどきりとした。
親分ならちゃんとしな、といつもAが言っていたのを思い出す。
(俺は3人に子分になれって言ったんだ。だったら俺には親分としての責任がある。強がらなきゃいけない。見栄を張らなきゃいけない。)
ローは意を決して話し始めた。
珀鉛病のこと。
その病気でどんな風に迫害されたのか。
どれほど大人に嫌な目に遭わされたか。
そして…大切な人を失った時に、どれほど辛かったか。
「ローさん、そんなことがあったのかよ…。全然知らなかった…。」
「…私も、初耳。」
ペンギンが弱々しい声でそう言い、Aは真剣な眼差しでローを見る。
「別にわざわざ話すようなことでもないだろ。病気はもう、完全に治ってるんだしな。
俺が言いたいのは、お前らも強くなるしかないってことだ。俺は確かに迫害されたし、酷い目にも沢山遭ってきたけど、こうやって生きてる。明日町に行って、俺達は嫌な思いをするかもしれない。けど、そんなもんにビビってたら、お前らはいつまで経っても前に進めない!周りの目を気にしてビクビクしながら生きていくしかなくなっちまう。
…そんなのは違ェだろうが。」
ローのこの言葉に、沈んでいた3人の顔が少し明るくなった。
いつもより饒舌なローを見て、Aは少し目を見開く。
(ちゃんと親分出来るんだ…。)
そう関心するも、Aは直ぐに真剣な眼差しに戻った。
(珀鉛病………確か、フレバンス王国の…。)
珀鉛病のニュースは、当時世界を大きく騒がせた。
あの美しい白い町が一夜にして炎と血で赤く染ったということが、Aには信じられなかった。
綺麗な街だったのに、そう思いながらAは、ロー達4人に「さぁ、もう寝なよ」と声をかけた。
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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時