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3-2 ページ15

賑やかな生活が続く中で、彼らはヴォルフの手伝いや家事といった自分達の仕事をこなして、空いた時間を各々自由に使っていた。

ローは医学書を読んだり、ベポは航海術の勉強をしたり、シャチとペンギンは強くなりたいと言って自己流で鍛えたり。

ローはそのシャチとペンギンの様子を見て、効率が悪い、と指南役を務めるようになっていた。

そんなある日。

珍しくAが一日家にいた。

ローとシャチとペンギンの様子を、Aはくすくすと笑って微笑ましそうに見ていた。



「なんだよA!! 俺の事笑えるほど強いのかよお前は!!」



それが小っ恥ずかしくて、ローはそうAに突っかかる。

するとAはすこしきょとんとした顔。



「な、なんだよ…。」

「…聞いてないんだ。まぁ、いいけど。」



Aは意味ありげに笑うと、鍛錬用にとこさえた1本の木刀を手にした。

肩慣らしにひと振りすれば、ヒュッと空を切る音がする。



「手合わせしようか、ロー。」

「え…。」

「ローが勝ったら、今日の夕飯の焼き魚…1番大きいのをローにあげる。」



ニコッと笑って言うA。

なかなか魅力的な申し出に、ローも木刀を握った。



「どっちが勝つと思う?」

「A一択だろ。」

「だよなぁ。」

「なんでだよ!! 俺だろそこは!!」



顔を見合わせてそう言うシャチとペンギンに、イラッとしてローはほえる。

それを笑って、Aは木刀を構える。

ローも彼女の方に向き直って木刀を構えた。

2人の視線が交わって、先にローが地面を蹴ってAに向かっていく。

そして、木刀を振るおうとした時。



「ロー、それじゃ胴が狙われる。」

「な…!?」

弁柄(べんがら)瓠!!」



Aはローの視界から消えるほどのスピードで間合いを詰めると、流れるように胴に一撃入れた。



「は?」



予想外の彼女の実力に、ローは雪の上に倒れ込んで素っ頓狂な声を上げる。

そんな彼をシャチとペンギンが覗き込んだ。



「ローさん大丈夫?」

「言ってなかったけど、A…この島に来た時からめちゃめちゃ強いんだよ。」

「来た時から…?」

「Aは4年間にこの島に来たんだ。」



ペンギンの言葉にローは怪訝そうな表情。

そういえば、まだヴォルフと一緒に暮らし始めてまもない頃、A本人がそう言っていたなぁ、と思い出す。

その時、ローの脳内をふと疑問が過った。



(6年前に母親と死別して…4年前にこの島に?その間は…?)

3-3→←第3話犧は昔



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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時

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