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シャチとペンギンの手術から4日。

2人は目を覚まし、Aもすっかり熱が下がっていた。

あの後、39度まで熱が上がったが、幸いにもそれは一時的ですぐに下がって回復したのだ。

2人の目覚めにAは心底安心したような顔で、2人を優しく抱きしめた。



「良かった…。」

「安心するにはまだ早いぞA。」

「え…。」

「キャスケット帽の方は腹を手術したから、体力は落ちてるだろうが軽いものから摂取して回復を待てば良くなる。だが、ペンギン帽の方は一度腕がちぎれてんだ…。

…今から包帯をとる。それで腕や指が動かせるか確認するぞ。」



ローの言葉に、ペンギンはごくりと唾を飲み込んだ。

するすると解かれていく包帯の下は痛々しい傷痕。

ヴォルフもベポもシャチもAも。

全員がペンギンの方に注目して、見守っていた。

ローの指示に従って、ペンギンはゆっくり指を動かそうとする。

全員の拍動が緊張で早くなる。

───その時、ぴくりとペンギンの指が動いた。

小指、薬指、中指、人差し指、親指…そして次は肘を曲げて前腕を持ち上げる。

ローのオペは成功していた。



「うおおおおん!よがっだ!よがっだなあ!!」



興奮気味にペンギンに抱きつくベポ。

Aもほっと胸をなでおろして、その真紅の瞳に大粒の涙を浮かべていた。

それを拭うと、Aはローに向き直って深々と頭を下げた。



「は!? A何を…」

「ありがとう。ローのおかげで、大切な存在を失わないですんだ。感謝してもしきれない。」

「…別に、単なる気まぐれだ。」



Aの様子に、シャチとペンギンも涙でぐしゃぐしゃにした顔で、ローに礼を言う。

なんだかそれが気恥ずかしくて、ローはそうぽつりと言って後ろを向いた。



──────
───




それから1週間ばかりが過ぎた。

Aは何度か自分の小屋に帰ったが、2人が心配なようでほとんどヴォルフの家に入り浸っていた。

ヴォルフはふんふん鼻を鳴らしながら、迷惑そうな顔をしていたが、決して彼らを追い出すことはしなかった。

シャチとペンギンの容態が安定してきて、ロー達はようやくことの経緯を2人に聞くことが出来た。

まだ腹の傷が痛むシャチに代わって、ペンギンがぽつぽつと話し始める。



「…俺とシャチは、2ヶ月前くらいからAと一緒に暮らしてるんだ。」



話すペンギンの声は、少し震えていた。

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睦月(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます!! そう言っていただけて嬉しい限りです(´˘`*) これからも頑張っていきます!! (2021年5月31日 8時) (レス) id: e2feea5660 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - ド直球に心に来ました!書き方からなにから全て凄く好きです!これからも無理せず頑張ってください (2021年5月31日 4時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:睦月 | 作成日時:2021年5月30日 8時

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