赤い薔薇、向日葵になる【暗殺教室】 (ページ8)

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6話ページ8

その日から私達双子の関係は冷戦状態に突入した。

次の日からの学校は、ちょっかいをかけてくる人間や陰口を叩く人間もそこそこ居たが全てガン無視させてもらう。

元々気軽に話せる友達は居ないようで、話しかけてくる人間も居ない為、私は久々にやる中学の勉強に打ち込んでいた。

こう言うと暇潰しのように聞こえるが、実際はそれどころではない。

なんせAの記憶がほとんど無いのだ。
そこで勉強の記憶はありますなんてご都合主義は起こるはずもなく、もちろん勉強の記憶もほとんどないに等しい。

そして私は元々社会人。中学の勉強なんて遥か昔。

つまりどういうことかというと、「中学校教科書の範囲のみ」の勉強なんて即席でできないのだ。
わかるけど高校の範囲が混じってるならまだしも、高校受験終わったらもう使わない知識なんて忘れている。

そういうこともあり、実態としては、話しかけてくる人間が居ないことをいいことに中学範囲の総復習をしている状態だ。

(それに……)

E組行きが決まってから、そういえばと一つまた厄介なことを思い出してしまった。

(赤羽業……)

そう、この人とAの元々の関係は、かなり近しいクラスメイト。

彼がE組に登校するようになるのは少し遅いが、会ったらバレる可能性は十分にある。

バレたくない。そういう意味もあって勉強に打ち込んでいる。

そして春休みまでもう少しと迫った頃。

E組に通う日がやってきた。

「よしっ」

すっかり着慣れたグレーの制服を着て、鞄を持つと、まだ肌寒い外へと飛び出した。

(そういえば、最初のうちの担任は雪村先生なんだよね)

通学路を歩きながらふと思い出す。

空に薄く見える月は、まだ欠けてはいない。