8話、兄の仇 ページ10
その声は、まるで子供がわからない問題を親に尋ねるような、そんな声。
「僕がキリシタンだと言う事は、アシスタントの馬場君でも知らないんですよ。それなのに、何故貴方は知っていたんです？」
「企業秘密だ」
唇に人差し指を当て、彼女は言った。その顔には笑顔はない。
あるのは、殺人犯を責め立てる、嫌悪の眼差し。
その表情を見て、八木はクスッと微笑んだ。
「…兄がね、居たんですよ。八木悠一っていう名前の、僕以上のキリシタン」
淡々と、八木は語る。もう1人の同じ八木の存在を。
「兄は、僕の家が代々受け継いでいた金色のロザリオを肌身離さず身につけていた。どんな事があっても、絶対に離さない。あぁ、風呂の時は流石に外しましたけど。
ある日…僕がまだマジシャンじゃなかった頃、由比堂が来た。あいつは、ロザリオを欲しがった。兄はもちろん断った。「家宝を簡単に渡す訳にはいかない」とね。そしたら奴は、何をしたと思います？
殺したんですよ。兄を。
殺して、ロザリオを奪い、売り飛ばした」
悠二の言葉に、会場はざわついた。夏子は信じられないと言った顔で蹲っている。彼は続ける。
「僕がその事実を知ったのは四年前、兄の三回忌。僕の元に、今は既に亡くなっている彼の奥さんの渥美さんが来て、僕に謝罪したんです。夫のした事は悪かった、と。
ふざけるなよ、そんなの許されるか。
僕は決意しました。あの男を殺すと。
そして、僕は殺したんですよ。
兄の仇を、とった」
淡々と語った彼は、息一つ切らさない。
真相を知った他の観客は、ざわつきながら悠二と夏子を見比べる。
夏子は顔を覆い隠し、泣きじゃくる。そんな夏子の背中を、朔英はゆるりとさする。
「飛んだ茶番でしたね、全く」
嘲笑うかのように呟くと、悠二は凛を見やった。
「…貴方がもっと早く日本に帰って来てくれていれば、僕は奴を殺さなかったのでしょうか？」
「過去を振り返るのは犯人のよくやる行為だ。振り返ったって何にもならないぞ」
凛のその言葉に肩をすくめながら、悠二は両手を前に出す。
「わかってますよ。過去なんて、所詮幻想の重石だ」
「お姉さん、待って！」
コナンの呼びかけに、静まり返った会場を出ようとした凛は足を止めた。
「何だ？」
「お姉さん、何者？」
「…急に何を言うかと思えば」
コナンの問いに、彼女はクスッと微笑んだ。
「私が何者か、ボウズに関係あるか？」
ないだろう、と言って彼女は笑った。
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ポッキー(プロフ) - 家族構成を詳しく教えてください！ (2018年8月22日 1時) (
レス) id: 7540b7af18 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 読ませていただきました！とても面白かったです！ (2018年7月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
扇スバル(プロフ) - 紗那さん» き、気に入ってるなんてそんな、ありがとうございます！�△任垢諭�投票ありがとうございました！ (2017年5月17日 1時) (レス) id: 67fea2266c (このIDを非表示/違反報告)
紗那 - 初めまして(*^_^*) 見つけてから 何度か読む直したりしていますが、とても気に入っています(^^♪ 描くのが大変かもしれませんが、私は�△任�願いします。 (2017年5月17日 0時) (レス) id: ed92358fdf (このIDを非表示/違反報告)
扇スバル(プロフ) - yunaさん» はい、�△任垢諭�投票ありがとうございます！ (2017年5月16日 16時) (レス) id: 67fea2266c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：扇スバル | 作成日時：2017年4月23日 2時
