五線譜 (ページ7)

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ｺﾝｺﾝ

楽屋の扉がノックされて、慌ててジェシーさんの腕の中から出る。

スタッフさんが扉の隙間から顔を覗かせ、

松村さんー！

あ、ジェシーさんもここにいらっしゃったんですね！

フィナーレ入りますのでスタンバイお願いしまーす！

と声をかけて出ていく。

「Daha！！ギリギリセーフ！！」

「ジェシーさん笑廊下まで聞こえますよ？」

「やぁだ！そのジェシーさんって言うのやだ！

敬語もやめ！」

「えぇ…ジェ、ジェシー？？」

「なぁに、ほくと？」

あぁ恥ずかしい。

たぶん俺の顔は真っ赤だ。

幼少期からピアノに打ち込んでいて、おまけに人見知りな俺にとって恋愛は未知の世界。

好きな人が目の前にいるだけでパニックなのに、ジェシーさ…ジェシーはかっこいいし、いい匂いもするし…。

冷静になったら、さっき俺、恥ずかしいこと言った気がする。

ていうか、彼のこと好きって自覚したのもついさっきだし…。

さっきから色々なことが起こりすぎて正直パンク寸前。

「ほら、行くよ。ほくと。」

さっきまで抱きしめられていたのに、笑顔で差し出されたジェシーの手を取るのすらなんだか恥ずかしくなってしまって、思わず無視して立ち上がる。

急に立ち上がった俺に続いて慌てて立ち上がる大男。

「え、ちょっ、ほくちゃーん？？」

名前を呼ばれて思わず振り向いた瞬間、俺の額にジェシーの唇がちゅっと降りてきた。

「…んなっ？？？」

「ごちそうさまっ♡ 早く行くよ」