五線譜 (ページ18)

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暖かい手に頭を優しく撫でられる感覚で、ふわっと意識が浮上する。

目を開けると俺はソファーに座ったジェシーに膝枕されていた。

「あ、ほくちゃん、目覚めた？身体辛いところない？」

「え、っと。だいじょーぶ。」

「ごめんね、ほくちゃん。」

ジェシーのまあるい手が、俺の胸をするっと撫でる。

ここ、ずっと痛かったでしょ？

1人で抱えこませてごめんね。って目にいっぱい涙を溜めながら謝るから、止まったはずの涙がまた溢れてくる。

ジェシーにこんな顔させたいわけじゃなかったのに。

「迷惑かけてごめん、もう大丈夫だから」

彼の膝から起き上がろうとすると、抱き上げられジェシーの膝の中にすっぽりと収められた。

ちゃんと伝えたいからちょっと待ってね、筆談にしようかってジェシーがペンとノートを手に取る。

“俺北斗のことすごく大事なんだ。何よりも大事。”

“自分を傷つける北斗見るの苦しかった”

雫がノートに落ちて、ボールペンの字が滲む。

なんでジェシーが泣くの。悪いのは俺なのに。

“辛い、怖いって言っていいんだよ？俺が全部受け止めるって言ったでしょ？”

俺の顔をのぞき込むジェシーの目は真っ赤で、ポロポロと涙を零していた。

ジェシーの泣き顔を見るのは初めてで戸惑う。

「泣かないで。俺は、ジェシーがすごく大事。」

「聞こえなくなるの、怖いけど。それより、ジェシーの負担になるのが怖いの。」

「あなたの未来、奪いたくないの」

“北斗は負担じゃない。支え。俺の恋人。たいせつ。”

「俺、まだジェシーと居ていいの？」

“俺と北斗はずっと一緒”

別れる時は俺が振られる時って言ったでしょ？ってジェシーが泣くから、俺までボロボロ涙を零してしまう。

「…ｸﾞｽ弱い俺でもいい？」

ジェシーがノートをローテーブルに置く。

グッと腕を引っ張られ体が反転し、ジェシーの膝の上に向かい合って座るような体勢になった。

「俺も弱いよ、弱いままのふたりでいよう。ふたりで手を取って生きていこう。」

ジェシーに強く抱きしめられる。2人で抱き合いながら、わんわん泣いた。

俺を想って一緒に泣いてくれる人がいる。それだけで、心が少し丈夫になる気がする。

ジェシーはひねくれた俺にいつだってまっすぐな愛をくれてたんだね。

「Hehe、北斗泣き顔はブサイク」

「ジェシーだって、目真っ赤じゃん」

俺らならきっと、きっとだいじょうぶ。