五線譜 (ページ2)

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続いてはジェシーさんと、松村北斗さんのスペシャルコラボです！！

どうぞっ！！

舞台が暗転する。

スポットライトが彼と俺を照らす。

あぁ、この瞬間が大好きだ。

この世界に、彼と俺の2人だけだと錯覚する。

彼と呼吸を合わせて、2人だけの音楽を紡ぐ。

俺のビブラートと彼のピアノが溶け合う。

歓喜。

一瞬の静寂のうち、どっと観客が沸き立つ。

その日浴びた拍手の雨は、たぶん今まででいちばん美しかったと思う。

楽屋に戻って一息つく。

あと1時間もすれば、今年が終わる。

怒涛の1年だった。去年の今頃は、俺がここに居るなんて誰が想像してただろうか。

松村さんとのコラボステージは最高だった。

好きな人と、好きな音楽を奏でる事がこんなに幸せだとは思わなかった。

リハーサルは2回しかなくて、あまり仲良くなることは出来なかったのだけど。

好きな人との距離ってどうやって縮めるんだっけ？

ｺﾝｺﾝ

「はーい、あ、松村さん。」

「今日はありがとうございました。最高のステージでした。」

「僕もです。またぜひコラボさせて頂きたいです。」

「いえ、僕は、もう…」

「え？」

「いや、なんでもないです。ありがとうございました。」

そそくさと挨拶を終えて出ていってしまった彼。
連絡先くらい聞けばよかった、と思い直し彼の楽屋へ向かう。

.

ｺﾝｺﾝ

楽屋の扉をノックするも返事は聞こえない。

扉の隙間から漏れる光。

ガヤガヤする廊下の音にノックがかき消されたのかもしれないな、と思い直してもう一度強めにノックしながら失礼しまーす！と楽屋におじゃました。