五線譜 (ページ1)

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Jesse side

「ほくちゃーん、俺の新曲の楽譜出来た！見てよ。」

ピアノに向かうほくちゃんの肩に手を乗せて、目を合わせてから声をかける。

手渡した楽譜に一通り目を通し、嬉しそうににこっと笑ってからピアノに向き直って、鍵盤に手を乗せる。

流れるようにメロディーラインを一通り通しで弾いてから、伴奏を付けていく。

俺が書くのはメロディーと歌詞だけだから、アレンジを加えていくのはほくちゃんの仕事なんだ。

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俺たちの出会いは3年前。
長編アニメーション映画の主題歌と挿入歌に大抜擢された当時無名だった俺は、映画のヒットと共に飛ぶように売れて、一躍スターになった。

自分で言うのもなんだけど。

「はじめまして、ピアニストの松村北斗です。」

その年の紅白歌合戦、天才ピアニスト松村北斗と、俺のコラボ企画が計画された。

北斗はクラシックは聞かない俺でも知っているくらいの日本を代表するピアニストで。

世界中の大きな舞台に立ってきているはずなのに、顔を真っ赤にさせて、自己紹介する彼に、

一目惚れした。

くるんとパーマがかけられた漆黒の髪、水分量の多い吸い込まれそうな瞳、口元のほくろ、ポテッとした唇。

初めて男の人を見て綺麗だと思った。

心臓の音が耳元でなっているみたい。

全身が火照ったように熱い。

それでいてなぜか心地よかった。

「はじめまして、ジェシーと申します。」

よろしくお願いします、と言って差し出した手は震えていなかっただろうか。

俺を一瞬きゅっと握った手は、しなやかで、少し温度が低い。

それが彼のせいなのか、高ぶった俺のせいなのかはよく分からなかった。