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何やら怪訝そうな顔でぶんちゃんとあずきのツーショを見るりょうくん。
｢どうしたの？｣
聞いてみると、りょうくんは恥ずかしそうに笑って言った。
｢この男の子。俺がAの彼氏だと勘違いして勝手に嫉妬した時の子だ。｣
え？
ああ、思い出した。
しばゆーの結婚式の時に聞かれたなあ。
｢嫉妬したの？｣
ここぞとばかりにいじめてやろうとする私。
｢好きだからね。｣
｢……。｣
撃沈。
この男は手馴れてやがる。
話逸らそう。
｢この横の女の子は佐藤あずき。私の大学時代の唯一の女友達かな。もともとりょうくんたちの高校の養護教諭だったんだよ？｣
｢え！そうなんだ。｣
｢辞めちゃったけどね。男の子は柿原朋也くん。あだ名はぶんちゃん。1年後輩で、名古屋市内の小学校の養護教諭だったんだけど、あずきとカフェやることになったんだよね。｣
｢へぇーー、みんな転職したんだね。｣
｢確かに。そんなん悪い仕事じゃないのにね。まあ、大学時代はこの2人とずっと一緒だったかなあ。｣
懐かしいなあ。
てか、こういう昔の話をりょうくんにするの、初めてかも。
あずきの話は何度かしたけどね。
虫さんと初対面した合コンの時にいたとか。
｢Aの昔話おもろいなあ。｣
｢少ないけどね。｣
｢けど、濃いよ。｣
なんか嬉しい。
そういえばこうやってゆっくり話すのは久しぶりだな。
りょうくんがチラッと時計を見た。
もう6時半だ。
｢そろそろレストラン行こうか。｣
｢うん。｣
最低限の荷物を持つ。
財布とスマホと、口紅？
｢準備できた？｣
｢うん！｣
扉の前で待つりょうくんの元に歩いていく。
鍵を閉めて、エレベーターに向かった。
｢ヒール、痛くない？｣
りょうくんが私の足元を見る。
ワンピースと一緒に靴も入ってたから履いてる。
ヒールの高さはそこまで無いところが、りょうくんの気遣いの素晴らしさだ。
普段履かないことをよく分かってくれている。
｢うん、大丈夫だよ。｣
｢良かった。｣
そこから数分で、ホテル内のレストランに着いた。
案内された席に座る。
ここも窓際で景色が綺麗だった。
ウェイトレスの男性が料理の注文を聞きに来た。
今日くらいは、ワインを飲んでもいいよね、って言うと、
｢ほんとに大丈夫？｣
りょうくんが注文する前に心配そうに聞いてくる。
｢うん。今日はちゃんと飲みたい気分なの。｣
｢わかった。……オーパスワンで。｣
｢かしこまりました。｣
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作者名：糯 | 作成日時：2020年5月7日 2時
