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言われるがままに車を走らせる。
車通り多いな……。
さすが東京駅。
ここの駐車場だっけ。
あ、いたいた。
てつやと虫さんが手を振っている。
車ないのにそんなとこ居たら迷惑だよ？
車の窓を開け、駐車しながら聞いてみる。
｢なんでここに来させられたの？｣
｢はい、これに着替えて！｣
窓から投げ入れられる紙袋。
は？
着替える！？
てかさっきからりょうくんか見当たらないんだけど。
ここで着替えるのはさすがやばくない？
｢大丈夫！この黒い布で覆うから！｣
ニッコニコの笑顔で大きい布を広げるてつやと虫さん。
あっという間に車に巻き付けた。
なにしてんの、ほんとに。
やっぱり阿呆だなこいつらは。
面倒くさので早く着替えなきゃ。
｢俺らも覗かんから安心してね！｣
てつやの声が小さく聞こえた。
紙袋の中に入っていたのは何やら高級そうなワンピース。
……りょうくんの差し金かな。
狭い車内で脱ぎ着するのは大変だったけどなんとか着れた。
ついでに化粧と髪型を整える。
｢2人とも、着替えれたよ！｣
運転席に戻って、窓に向かって言った。
｢おっけー！｣
虫さんの高い声が響く。
黒い布がばっと剥がされた。
車の前に、スーツ姿の、りょうくん。
フロントガラス越しの、りょうくん……。
さっきまで暗いとこにいたのも相まって、神々しすぎた。
ゆっくりと車を降りる。
｢A、やっぱり何着ても似合うね。可愛い。｣
｢りょうくん……。｣
眩しい……。
このイケメン、眩しい。
｢A！荷物全部出して！｣
いつの間にか私の車に乗り込んでいるてつや。
｢え？なにしてんの？｣
｢いいからいいから。｣
りょうくんにも後押しされてなにがなんだか分からないままに荷物を取り出す。
｢持つよ。｣
りょうくんが私の大きめのカバンをさらっと奪った。
｢あ、ありがとう……。｣
あれ！？
虫さんも、助手席乗っとるやん！
｢2人ともどうしたの？なにしてんの？｣
そう聞くとてつやが窓から顔と手を出して言った。
｢なかなか二人の時間とれないじゃん？俺らはAの車乗って、岡崎に帰るから、二人で東京楽しんで！てなわけで、車の鍵ちょーだい。｣
助手席の虫さんもグッと親指を突き出している。
りょうくんを、見た。
｢デート、してくれる？｣
こんなの、頷くしかないでしょ……！！！
｢うん！｣
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作者名：糯 | 作成日時：2020年5月7日 2時
