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不意に外の景色が見たくなってベッドから降りようと布団から足を出した。
『ぁ……!』
立ち上がろうとした瞬間、足に力が入らなく、その場に倒れこむ。
それとほぼ同時に部屋の扉が開いた。
先程の包帯の人は少しだけ驚いた顔をしてこちらを見る。
「なにしてるんだい?」
『…外の景色が見たくて立とうとしたら…こうなりました。』
「ふふ、大丈夫かい?」
馬鹿にされているのだろうか。
口に手を当て笑いながら寄ってきて左手を差し出される。
『失礼します』とその手を借りてベッドに腰をかける。ぷらぷらと足は動くのに感覚がない。
「君、2日も寝たきりだったんだ。そうなるのは仕方ないさ。」
その言葉に衝動的に顔が上がる。
2日も
驚きと動揺で言葉が上手く出ない。
「まあ、驚くのもしょうがないね。」
「ふう、」と包帯の人は息を吐きながら先程の椅子に座り、私に向かい合う。
「志賀Aさん、2年留年していてまだ高校三年生…で合ってるよね?」
『なんで私の事…』
「 先程、君の学校に電話してすぐ向かうと言われた。もう少ししたら来るだろうから、その時に全て説明するよ。」
淡々と話し続けるこの人が、少しだけ、怖いと思った。
全て感情を、何もかも見透かされている気がした。
『名前、なんて呼んだらいいですか。』
「嗚呼、私かい?私は太宰治。好きなように呼んでくれたまえ。」
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作者名:をかし | 作成日時:2021年2月4日 0時