【FGO】第六次聖杯戦争

聖杯戦争、開幕 12 ページ13

「波ァァッッ！！」





燕青の力の篭った拳で呪腕に殴り掛かる



呪腕はそれをうまく回避しつつ、手に持っているくないを燕青に向けて振り下ろす


そして燕青もそれを避け、また拳を突き立てる



今のところ、全くもっての互角である。しかし、お互いに必勝となり得る技を隠し持っているため、共に緊張や殺気は解けない




呪腕のハサンの宝具「妄想心音(ザバーニーヤ)」


右手に巻かれた布を解き、その手に触れられたものは心臓を抉り取られ、即死する宝具



燕青は宝具を使わせまいと、肉弾戦に持ち込みなんとか呪腕と対峙している



この状態で宝具を使わせたが最後、燕青は聖杯戦争の敗退者となり、座に還ることとなる。いや、この場合、聖杯の糧にされるのが合っているだろうか



つまり、燕青は二度と、マスターの藤丸立香の元に戻ることは出来ない






「……そんなのは御免だね」





かつて主に裏切られ、二度と主は持つまいと心に決めた。その自分が、小さな少女の導きにより、英霊として召喚された


彼女は明るく、そして、まだ真名も知らなかった時でさえ、燕青に優しく接してくれた


そんな彼女に、燕青は心に深く決めた



この主に、心からの感謝を。そして、この主に仕えようと






「俺は、まだここで座に還る訳にゃあいかないんでね！！」






彼の重い拳が、呪腕の腹に低く、鈍い音を立てて当たる


呪腕は跳ね飛ばされ、またもギリギリのところでなんとか踏みとどまる






「＿＿フ」






呪腕が笑ったと同時に、彼の右手の布が暴かれた



そこからまるで燃えているように赤く、そして長い手が現れた





「しまっ……！」

「宝具、「妄想心音(ザバーニーヤ)」」







彼が宝具名を叫ぶと同時に、燕青の前にくないが飛んでくる



しかし、これを避けられたとしても宝具であるあの"手"が飛んでくる






「糞ォッッ！！」





燕青は歯を食いしばり、くないを蹴り上げ、呪腕に飛びかかる。相打ちを狙って






「馬鹿め」





ニタリと笑う呪腕。飛びかかる燕青




そして、呪腕の手が彼に触れる直前







　





風が吹いた








「…っ！？」






呪腕が目を瞑る程の、一瞬の突風



そして目を開けると、そこには燕青はいなかった






「……逃げられたか」






構わん。呪腕は笑い、隣のビルへ飛び、また隣のビルへと飛んいき、闇に消えていった









　





　

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