【黒尾鉄朗】好きって言っておけばよかった

えがおを向けてくると・黒尾 ページ16

ー黒尾sideー



梨「黒尾さん、今日行ってもいいですか？」




梨美は俺の部下なわけだから、2人きりで仕事をすることもある





今、正にその真っ最中だ



それでも、誰かに聞かれたらと思って一応小声だが







黒「丁度よかった、話したいことあるから」




梨「・・・・・10時頃に行きますね！」








梨美は、俺に彼女がいるのを承知で付き合っている









そう、あれは確か春だった





Aとすれ違いが生じ始めた頃に、新入社員として同じ部所にきた


一つ違いということもあって、俺が指導することになった







梨美が入ってきたその日、歓迎会という名の飲み会で、隣の席に座ったのが梨美だった






当時、まだ誕生日を迎えていなかった梨美はジュースを飲みながら、俺に仕事のことを聞いてきた



熱心だな、と思って快く説明しながらも、俺は酔いが回っていた






酔いつぶれそうになる前に、飲むのを辞め暫くお茶を飲んでいると、「お酒強いんですね」と微笑みかけてきた




なんでか、その時はじめてちゃんと梨美の顔を見た気がした








まだ幼さが残っている、その笑い方は高校の時のAそっくりだった




10ヵ月、それは長いようで短かった





あの日から、ズルズルと梨美と付き合っている



あの笑顔に惚れてから









でも、違かった



俺が求めていたのは、高校の時の笑顔じゃない、梨美の笑顔でもない








俺が欲しいのは、Aの笑顔だ





試合で負けた時、ドンマイ！と言ったあとの満面の笑み


誕生日を祝った時に見せてくれた笑顔






どこかで重ねてた、梨美とAを






Aと会えないという心の隙間を梨美で埋めていた









Aが俺の看病をしてくれてた時の、あの笑顔



あの笑顔を見た瞬間に、目が覚めた









俺は今まで、なにやってたんだって



Aは、こんな俺のためにわざわざ会いに来てくれて、会社の外で待っててくれて、Aが会いに来てくれるのは俺の為で







つくづく思う、自分勝手で、自己中なのは俺だと




寂しい心を埋めるために梨美と付き合って、Aに何かを追い求めて、要らなくなったら捨てる









黒「何やってんだよ、バカ野郎」

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改めてお礼をしたいと思います。

過去最高5位、お気に入り登録者250人超え


嬉しい限りです。

これからもゆるくですが、頑張りますのでよろしくお願いします！

がまんするのは得意だから・笹野→←たいせつにしてくれてた・笹野

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