【黒尾鉄朗】好きって言っておけばよかった

なかよさそうだし・笹野 ページ13

ーAsideー



あ「じゃあ、起こすから薬だけ飲んじゃお」


鉄朗の背中に手を回し、壁によりかかせる








ハイ、と風邪薬と蓋の開いたペットボトルを渡す



薬を口に含むが、手元が狂い水を飲めていない





ペットボトルに手を添え支える




相当喉が渇いていたのだろうが、ゴクゴクと喉を鳴らしながら水を飲んでいる




口から離し、もう一度横になる






あ「じゃあ大人しく寝てて」


ベッド脇から立ち上がり、一歩踏み出したところで、鉄朗に腕を掴まれた




あまりの驚きの行動故に、彼の顔を見る





あ「な、何か持ってくる？」



と尋ねると、これまた意外な言葉が聞こえてきた






黒「俺が寝るまで、ここいろよ」




両目を大きく見開き、うん、と大きく頷き手を握る









寝息が聞こえてきたところで、手を離しキッチンに向かう



きっと明日は仕事が休みだからあんな時間にコンビニにいたんだろう





お粥でも作り置きしていないと確実にご飯を食べないと、日頃の言動から察した









鉄朗の浮気を見ているのに、私がここまでお節介をするのは彼女だからって言うのもあるけど、何より放っておけないから







自分より他人のことを優先して、具合が悪いのを隠して、仕事に熱心で、何より優しい









別に私は今更、鉄朗に優しさとか、仲の良さとか、愛を伝えてとか、そんな事は求めない







ただ、もっと自分のことを大事にしてほしい









きっと鉄朗は優しいから、5年も付き合った私に別れを告げることが出来ないのだと思う



それに甘えているのは、私だ









だけど、それもあと少し







私から言わなければならないのだと、そう感じる









来週、けーじくんと飲もう





そして、愚痴をいっぱい聞いてもらおう





それで、その後に言おう








別れようと



もう、私のことなんて気にしないで幸せになってと

まだ俺の心の中に居座って・黒尾→←お前が優しくなんかして・黒尾

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