★７７★ ページ27
「何かあったら、遠慮せずにナースコールしてくださいね」
と伝えて、病室を出た。
なんとなく、夜中にぐずりそうな気がして、家へは帰らずに
仮眠室で休むことにした。
看護師さんにも、ぐずったら様子を見にくるから連絡してと
お願いした。
そろそろ、休もうとした時に連絡がきた。
『目が覚めちゃって、おうち帰る』って大泣きですって。
病室の前へ来ると、大泣きが聞こえる。
「失礼します、目が覚めちゃたの？」
母「翔くん？？」
「なんとなく、こうなる気がして・・・
仮眠室で休んでいたんです。呼び出しの当番だし」
母「目が覚めたら、帰れると思っていたみたいで・・・
おうち、おうちって言い出して、どうにもならないのよ」
「さとくん、まだ夜なんだよ、もう一回ねんねしよう。
オムツ交換しておんぶしようか？」
智「いやもん、おうちよ、うわ〜ん」
母「さとくん、見て、まだ、お外真っ暗よ。
みんな、ねんねしてるから、大きな声で泣かないのよ。
みんな、びっくりして起きちゃうから」
智「いやもん、おうちよ、うわ〜ん」
オムツ交換を済ませて、おんぶする。
「少し、夜中の散歩に行ってきます。
休んでいてくださいね」
母「・・・ホントにすみません、ついて行っても・・・
お願いします」
病室を出て薄暗い廊下をうろうろする。
まさか自分がするとは思わなかったけど、小児科では
割と見られる光景(笑)
背中でおうちって言いながら、しゃくりあげている。
「うん、帰りたいんね、明日の夕方、パパがお迎えに
来てくれたら、帰ろうね」
病棟を一周したら寝るかなと思ったけど、
お店なんて言い出した。
「もう、お店もねんねしてるよ」って
伝えたけど、納得しない。
エレベーターに乗って、コンビニを見に行くと納得して
くれた。
近くにある自動販売機でアイスクリームを買った。
高校生だから、夜更かしもするし、夜中にお菓子食べたり
ジュース飲んだりするのが楽しい年頃だよなってふと思って。
体力的なこともあって、普段は規則正しい生活をしているけど、
たまにはいいだろう。
まさか、入院中にやるとは思わなかったけど。
病棟へ戻る途中、『アイス、食べる』ってはっきり言う。
「うん、今日だけだよ。食べたら、もう一回、ねんねするよ」
智「ねんね、ない」
出たよ、がんこちゃん。でも、眠気もくるだろうし。
「わかった、ねんねせずに起きてたらいいよ」って返事した。
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作者名：ばるこひめ | 作成日時：2021年2月23日 21時
