あの雲の向こうに２ (ページ1)

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病室のドアを静かに開ける。

翔「失礼します、さとくんただいま」

ベッドへ寝転んでいるけど、寝られてはいないみたい。

声をかけると、『しょうちゃ』と言ってくれた。

母「翔くん、もしかして帰ってきてくれたの？
　明日の予定だったわよね」

翔「心配で帰ってきました・・・
　熱、下がりませんね・・・
　でも、検査は異常ないですね」

母「そうなのよ・・・心配でね、
　翔くんに会えない寂しさのせいにしては、
　ひどすぎるわよね」

翔「さとくん、もしもしさせてね」

智「いやら～」

翔「いやら～って言ってくれてよかった、
　夜だし、かわいそうなんですけど、
　今から髄液検査させてもらってもいいですか」

母「・・・髄液検査ね、さとくん、大嫌いなのよ、
　勝手なお願いだけど、優しくしてやって」

翔「もちろんです、優しくします、
　大丈夫だろうを大丈夫に変えて、安心しましょう」

母「お願いします、さとくん、ママ待ってるからね」

ママの眼に涙が浮かんでいた。

ナースコールを押して検査の準備をお願いする。

翔「さとくん、翔ちゃんと検査がんばろうね」

看「失礼します、先生、ストレッチャーで行きますよね？」

翔「ごめん、せっかく持ってきてもらったけど、抱っこで
　行くわ、点滴とかお願いできる？」

看「わかりました、先生のタイミングで抱っこしてあげて
　下さい」

智「いたた、いやら～」

翔「ごめん、ごめんな～、嫌なことばっかりして」

不覚に涙がこぼれそうになる。