23 ページ23
*
｢…もう、最初から決まってるんやと思うわ。
苗字が一緒で、家が隣同士って、もう運命やんな｣
もう何度目かの自嘲。
大橋先輩の目は何を捉えているのか、今は分からへん。
｢丈くん、ツンデレやからね、
素直やないから、好きやのに意地悪すんねん。
ほんま小学生みたいやで？
でも、たまに…今日みたいに、
素直な''好き''って気持ちだけで行動することがあんねん。
いっつも意地悪やのに、急に優しかったり、かっこよかったりしたら、
そら好きになってまうわって。｣
先輩は言いながら、下を向いた。
…大橋先輩やって、
''そら好きになってまう''って要素、いっぱい持ってるのに、
気づかへんのかな、自分で。
｢もしこれが恋愛小説なら、ヒロインは美沙希で、主人公は丈くん。
それで、…間違いなく俺が当て馬役やねん。｣
先輩の太陽のような明るさは消えて、表情に一瞬影を落とす。
｢やから、俺は当て馬らしく、
2人がくっつく方法を考えんねん。｣
私を見て、そう淡々と言った。
そしてまた下を向いて、眉に少し力が入る。
｢ほんまは、俺やって美沙希にいいとこ見せたいし、好きやって言いたいよ？
せっかくお互いに矢印向いてんのに、なんで素直にならへんねんってムカつくこともあるし…なら俺がって思ってまう時もあるけど…、
でもそれは、シナリオ通りやないから。あかんの。
美沙希の隣は、いつでも丈くんって決まってんねん。
俺は、このままでええの。
…これがほんまの俺やで。｣
見たことも無いくらい、真剣で、
それでいて少し、苦しい微笑み。
｢……大橋先輩、あほです、、｣
｢…知ってる｣
｢優しくって、あほすぎます…｣
｢…ええ、また泣いてんの？！｣
私は恥ずかしくて、顔を手で覆った。
｢…ありがと、俺の分も泣いてくれて｣
大橋先輩のあたたかくて大きな手が、私の頭をポンポンと軽く叩いた。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 356人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まるこ。(プロフ) - みらいさん» 前作に引き続いて読んでくださってありがとうございます！更新頻度がマチマチで申し訳ないのですが…お言葉を胸に、頑張りますね！ (2022年10月29日 19時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - 三度目の正直。で、まるこ。さんの作品を知り、大好きになりました。これからも無理せずに頑張ってください。のんびり応援しています！ (2022年10月28日 12時) (レス) id: 93a62a6d86 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ。(プロフ) - あんずサイダーさん» すみません！ご指摘いただき本当に本当にありがとうございます…修正いたしました！本当に助かりました… (2022年9月30日 20時) (レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
あんずサイダー(プロフ) - いつも楽しくまるこさんの作品を読ませてもらっています。あの、なんか名前がごちゃごちゃになっていませんか？少し気になってしまって…。これからも楽しみにしていますので、頑張ってください！ (2022年9月29日 21時) (レス) id: b2676093e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まるこ。 | 作成日時：2022年9月28日 20時
