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*
「あ、ここ」
気まずい時間は終わりを告げた。
私の住むマンションの玄関。
「…ありがとう」
「うん、じゃ」
「…A！おかえり！」
「え！お母さん！？」
唐突に扉から出てきたのは、紛れもなく私の母親だった。
合鍵は渡してあるけど、ずっと玄関で待っていたらしい。
「なんで？！」
「久しぶりに顔見たなって飛んできたわ〜
…あれ！大吾くんやん！久しぶりやな〜」
「お、お母さん、お久しぶりです」
大吾が驚きつつ頭を下げた。
すると、お母さんは私と大吾の顔を交互に見て、
徐々に口角を上げる。
「お母さん嬉しいわ〜孫の顔見るんも夢じゃないな〜」
「え、違うから、付き合ってな」
「お母さん、ご挨拶が遅れました。
Aさんとお付き合いをさせていただいています」
「え、」
お母さんの爆弾発言に、急に改まった大吾がとんでもないことを返す。
大吾のアイドルスマイルは崩れない。
間に立つ私は混乱する他ない。
すると急に場が静まり返り、お母さんがぽつりぽつりと言葉を紡いだ。
「…私ずっと、Aの旦那さんは絶対大吾くんがええと思とったよ」
パニック状態の私の頭は、
涙ぐむお母さんの姿で鎮火された。
「…A、大変な思いさせちゃってごめんな…
アンタは私より幸せにならなあかんで？」
そう言って、私の両肩に手を置く。
「…お母さん、」
はやくに離婚してひとり親であることに負い目を感じているのか、
お母さんはいつも私にこう言った。
結婚をいつも急いてくるのも、その言葉を実現させるためだろう。
お母さんにとって、結婚することが幸せであることは離婚しても変わらなかった。
「あ、そうだ2人にええもんあるわ」
「え？」
「これ、2人で行ってき」
そう言って手渡されたのは、遊園地のペアチケットだった。
「会社の人がAと行くようにってくれてんけどな？私もうそんな歳ちゃうしと思っててん」
「嬉しいけど、私達だって遊園地行くような歳じゃ」
「ええやん、行こ？遊園地デート」
大吾がそう、私の言葉を遮る。
その声と、顔が嫌に優しくて
お母さんの嬉しそうな顔が眩しくて
気づいたら頷いていた。
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まるこ。(プロフ) - 汐帆さん» ご愛読、コメントありがとうございます！そう言っていただけると本当に嬉しい限りです！！近々続編のお知らせができるかも？なので良ければそちらもぜひ！ (2022年12月23日 18時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
汐帆(プロフ) - 初めまして！とっても面白く一気に読んでしまいました！更新お疲れ様でした。いつか大吾くん目線のお話も読んでみたいです。 (2022年11月28日 23時) (レス) id: 2fb46ab547 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ。(プロフ) - りんごさん» ご愛読、コメントありがとうございます！涙を、、、凄く嬉しいです…この2人を気に入っていただけたようで幸せです…！ (2022年9月28日 16時) (レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ。(プロフ) - にぱたんさん» ご愛読、コメントありがとうございます！続編ぼちぼち進めてまいりますので、気長にお待ちいただけると…´`* (2022年9月28日 16時) (レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - とってもよかったです。こちらのお話し見つけで最後まで読み切ってしまいました🥺💓涙流しながら二人の恋模様見守りました。またいつかこの２人の続き読みたいです！ (2022年9月19日 2時) (レス) @page48 id: 10603752ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まるこ。 | 作成日時：2022年8月24日 4時
