#名前 ページ7
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朝ご飯を頂いている時、男性は思いだしたように箸を置いてテーブルから離れた。
そして玄関の方へ消えたかと思えば、大きめの紙袋を手にして其れを私にと手渡した。
受け取り中を見てみれば、そこには丁寧に畳まれた洋服。黒いワンピースとブーツが入っていた。
「飯食ったらそれに着替えて外行くぞ。そこで街の様子やら服やらあんたのモンも揃えろ」
「あの、この服は何処で?」
「知り合いに借りた、中は見てねぇが変なモンは入ってねぇ筈だ」
ええ、入ってません。寧ろとても有難い。
ワンピースの下に隠すように入っている灰色の袋。開けるとホックの付いた黒い布。手作りだろうか、下着の代わりには丁度いいものだ。
「その方に、貴女は神です有難うございますメシア!とお伝えください…」
「お、おう?」
という経緯に至り、私は無事下着(代わり)を手にし、洋服も手にした訳ですが、
着替えも終わり、外に出る支度が出来た所で1つ疑問が生じました。
「あの…失礼ですが、私貴方のお名前をまだ、」
「そういや云ってねぇな」
ここまでして貰って、しかもこれから色々買ってやるだなんて云ってくれるこの人の名を、私はまだ知らない。
改めて私服に着替えたイケメンな男性と向き合う。
「俺の名は、中原中也だ。好きに呼べ」
…あー中原中也さんね。うんうん、成程ぉ。
ーー私の知る文豪の名前と同じなのは偶然かな?
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【#名前】
「オイ、聞いてんのか?」
「(中原中也、中原中也、中原中也、ナカハetc)」
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作者名:唯 | 作成日時:2020年4月5日 2時