第4話*鬼の副長の愛刀 ページ4
( 堀川視点 )
「堀川くん逃げて、私はいいから」
そう言って主さんは僕の体を押した。
主さんのことだから僕だけでも逃げてほしいんだろうな。
「いいから、堀川くんだけでも逃げて」
ほら、思った通り。
貴方は、貴方はいつだってそうだ。
たとえ後ろ指を指されようと表情一つ変えない。どんな我が儘も二つ返事で了承する。
貴方は、優しすぎる。
……その優しさが、自分の身を滅ぼすと気づいているはずなのに。
「ほらほら早く!じゃないと堀川くんも捕まっちゃう_」
「何言ってるんですか、主さんも一緒に逃げるんですよ。」
「え?きゃあっ!?」
華奢ではないその体を抱き上げる。
…うーん、早く兼さんに会えないかな。
「待って、待って堀川くん!?私重いよ!?」
「そうでもないですよ?毎日歌仙さんにご飯おかわりしてた割には」
「そこは重くないって言ってよ!」
「どっちですか」
歌仙さんほどではないけど、僕だって貴方の初めての脇差だから。
「主さん、」
「何っ!」
「これからもずっと一緒ですよ」
それだけ言って、先を急ぐ。
主さんは何も言わずに僕を掴む力を強めた。
「主!国広!」
「兼さん!」
「兼さん遅かったね。撒いてきた?」
「粗方は蹴散らしてきた。けど気は抜くな。此処は刀が多い。」
兼さんは僕らを見るや否や目を見開く。
かと思えばすぐに顔を逸らした。
「…なぁ国広、俺が主担いだ方がいいんじゃねぇか?」
「流石兼さん!よく分かったね!」
「ねぇ堀川くん!?私君に何かした!?」
「こら主暴れんな!落ちんぞ!!」
.
.
.
「……やれやれ、荒れているようだったから救出に来たけれど、必要なかったかな?」
その声は、僕らの目の前の大門にいる白い布を纏った人から聞こえた。
「あっ!監査官さん!!」
「あぁ?確か聚楽第での調査みてーなことやってた奴だったっけか?」
兼さんがあまり覚えていないのも無理はない。
聚楽第での任務が行われたのはつい先日、僕らはその時遠征に行っていたため参加していないのだから。
「この『土方』本丸で何か不祥事が起こったとの報告を受け此処に来たんだが…相当荒れているね。」
「まりあが…あっ、私の実妹なんですけど、
あの、信じられないかもしれないんですけど、あの…」
「落ち着きたまえ、話は後でゆっくり聞かせてもらうつもりだ。何しろ此処は危険だからね。
君達は一時的に政府に避難してもらう。」
大門の扉が、大きく開かれた。
444人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきな(プロフ) - よし!妹殺そう!←…あっ!安心してください!痛いのいのじも声に出させずに地獄へ送りますからニコッ…ンフフ楽しみやなぁ!…これからも無理せずに頑張ってください-w (2019年7月5日 23時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
滅月(プロフ) - ちょぎ…かっこいい…好き… (2019年6月26日 6時) (レス) id: 0b47fc3e16 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - コメ失礼します、私の初期刀も文系雅さんだから最初からウルっときちゃいました…読みやすくてストーリーも面白くてとっても好きです! 続きを楽しみに待っています!無理のないよう、更新頑張ってください(*´ω`*) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 3bb4a78592 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ - とてもおもしろいです!これからも更新頑張ってください! (2019年6月23日 14時) (レス) id: ea2e6a2a17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:避雷針 x他1人 | 作成日時:2019年6月21日 21時