四十話 ページ46
学校を案内してあげると言ってハルヒが小泉を連れ出し、朝比奈さんは用事があるからと言って帰ってしまったので部室には俺とキリと長門有希だけが残された。
「私も今日は帰るかなー、キョンはどうする?」
今更オセロをする気にもなれず、長門の読書シーンを観察していても面白くないだろうから俺もさっさと帰ろうと思い、鞄を提げる
長門に一声、
「じゃあな」
「本、読んだ?」
足が止まる。長門有希の暗闇色をした目が俺を射抜いていた。
キリが、
「そっか‥」と呟く。
何がそっかなんだ、
「本。というと、いつぞや俺貸した異様に厚いハードカバーのことか?」
「そう」
「いや、まだだけど‥返したほうがいいか?」
「返さなくていい」
長門のセリフは、いつも端的だ。人文節内で収まる。
「今日読んで」
長門はどうでもよさそうに言った。
「帰ったら、すぐ」
どうでも良さそうなのに命令口調である。
ここんとこ国語の教科書に載っている以外の小説なんて読んでもいないけど、そこまで言うからには他人に推薦したくなるほどの面白さなのだろう。
「‥わかったよ」
俺が答えると長門は今度はキリに向かって言った、
「あなたも、よかったら」
そう言いながら、またバカ厚い小説を持つ。
そして、キリは少し考えるそぶりを見せてから
「‥‥わかった」
俺が見たこともないほど真面目な顔をして本を受け取る、キリ
その言葉を聞くと、無言で読書に戻る長門。
「‥さっ、帰ろっか」
キリはいつもの笑顔を見せ、部室のドアを開け、長門に「じゃ、また」と声をかけるキリ。
長門はまた自分の読書に戻った。
そして俺は今夕闇の中を必至で自転車をこいでいた。
キリと別れて自宅に戻った俺は晩飯を食ったりしてダラダラしたのち、自室で借りたというより押し付けられた洋モノのSF小説を紐解く事にした。上下段にみっちり詰まった活字の海にめまいを感じながら、こんなの読めるかよとパラパラとめくっていたら、半ばくらいに挟んであった栞が絨毯に落ちた。
花のイラストがプリントしてあるファンシーな栞だ。なんの気なしに裏返してみて、俺はそこに手書きの文字を発見した。
【午後七時。甲陽園駅前公園にて待つ】
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藤凛ゆきな(プロフ) - 面白かったです!これからもぜひ更新続けてください! (2022年4月28日 0時) (レス) id: 01a5a3bde5 (このIDを非表示/違反報告)
こんそめちゃん。 - 里奈さん» いえいえ、大丈夫ですよ!お元気なようでよかったです、更新楽しみにしてました。ありがとうございます! (2019年12月19日 1時) (レス) id: 6cb14b9d6b (このIDを非表示/違反報告)
里奈(プロフ) - あかずきん。さん» 返信が大変遅くなってすみません!面白いといっていただけてとても嬉しいです...!ありがとうございます、頑張ります! (2019年11月23日 23時) (レス) id: 9872b3e3c5 (このIDを非表示/違反報告)
里奈(プロフ) - こんそめちゃん。さん» 返信が大変遅くなってすみません!リクエストありがとうございます!四人の絡みシチュエーションのリクもありましたらどうぞ、、、(もう見てないかもしれないので思いうつき次第上げさせていただきます) (2019年11月23日 23時) (レス) id: 9872b3e3c5 (このIDを非表示/違反報告)
里奈(プロフ) - 紫猫@東方厨さん» 返信が大変遅くなってすみません!ありがとうございます!!更新がんばります! (2019年11月23日 23時) (レス) id: 9872b3e3c5 (このIDを非表示/違反報告)
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