第88話 ページ10
「気に病む必要なんてねーよ」
歩み寄った銀時がぽん、と神楽の頭に優しく手を置いた。
「銀ちゃん……」
「お前が言わずともいずれそうしてたさ。実際、あいつは自ら剣を握ることを選んだ」
人斬りに足を踏み入れ一度は
「真選組の動乱で、俺達が列車の近くまで辿り着いた時、Aがどうしたか知ってるか」
パトカーに同乗していた新八と神楽、そしてチップに喰われてはいたが土方も知っている。
「Aは自分の身の危険も省みずに、沖田君に加勢しに行った」
近藤が目を見開く。
「考えてみろ。剣術身につけたとはいえ実戦経験もない奴が、死なねェって始めから知ってる人間のためにわざわざ自分が死ぬリスクを侵すか?」
普通の人間なら恐らくそうはしない。死んだらもとの世界に戻れない可能性だってある。それでも行った理由は何だったのか。
「護りたかったんだよ。大切な人を」
本人に自覚は無いみたいだがな、と銀時。
ただ心配だから。共に戦って、互いに互いを守り、共に死地を乗り越えたいから。少なくともそこに推しへの愛以上の何かがあることは間違いない。
「愛があればナントカってよく言うけどよ。意外と間違いじゃないかもしれねーぜ」
皆の中で、土方だけは未だ難しい表情を崩さない。
「そんな
問う銀時に、土方はいや、と首を振った。
「これまで散々ひでぇ事したんだ。どうこう言うつもりはねェ。ただ__」
そこで一度言葉を切り、天を仰ぐ。
「
簡潔な言葉。でもきっとそこには複雑な今迄を経て行き着いた、弟分への思いが込められているのだろう。
すると突如、微かに聞こえた爆発音と共にターミナル全体が地響きのように揺れた。
「今のは屋上? まさか2人に何か……」
「落ち着け、今話してたじゃねーか。そんな簡単に死なねェよ。あの2人だからな」
銀時につられて、土方もふっと口角を上げる。
「俺達が出張る間もないってか」
「どっちみち残りの奴等片付けねーと先には進めねーんだ。あともう少し踏ん張りやがれ!」
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2022年5月6日 12時