愛しい君 [エルキドゥ]

49話 ページ8

目を開けると僕は壁？に吊るされていた

一体何が起こったのか

混乱していてあまり覚えていない

ギィ

ふと扉の開く音がしてそちらに顔を向けた

そこに居たのは…

ルリ『(エルキドゥ……)』

彼が何かを言っている

けれど目は霞み

音はよく聞こえない

でもそんな事どうだっていい

だって……

会えたんだから

ルリ『やっと………会え、た…』

僕は手を伸ばし彼の手に触れた

ああ、懐かしい

温かい、安心する

けれど何故か彼は僕から離れていこうとしているようだった

どうして？

また僕を1人にするの？

そんなのは嫌……

キミのいない世界は彩りが褪せモノクロな世界なのを僕は知っているから

ルリ『……もう、僕を………1人に…しないで………！
』

キミとギルと僕

あの頃に戻りたい

下らない事で笑ったり喧嘩したり

そんなあの頃に戻りたい

でもそれは出来ないと頭の隅で何かが言っている

彼は何も言わない

けれど……握ったその手を握り返してくれた

ルリ『……ごめん、なさい！…僕が、弱………かったから、エルキドゥが……！』

″あの時″

キミは何もしていないのに突然神々に砕かれた

許せなかった

神々を

イシュタルを

世界を

でも……

僕が一番許せなかったのは僕自身だった

大切な人も友人も

何一つ守れなかった

そんな僕が何故英霊などになったのだろう

そんな価値はない僕に

僕は許されない

他の誰かが許しても

僕自身が許せない

許してはいけない

それがせめてもの彼への気持ちだから

ルリ『許さ、なくて………いいから…行かな、いで…………1人は━━━』

トサッ

気づくと僕は彼の胸の中にいた

キミは怒っていないの？

何も守れなかった僕を

エルキドゥ「1人ではない筈だよ。キミにはギルがいるじゃないか」

ルリ『…ギ、ル』

ギル

僕の永遠の

最高の友

僕は恵まれていた

恵まれていていいの？

エルキドゥ……

そこで意識は途絶えた

･

番外編 もしもあの時…→←48話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す