君ともう一度【声優】 (ページ6)

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病院を出た後真っ白な頭で家に帰りついた

なにをすればいい？どうすればいい？誰に頼ればいい？

あと1年。

私は使っていない新品のノートとペンを取り出し机に広げる

死ぬまでにやること

･後悔が残らないように声優を全力でやりきる

･旅行に行く

･お世話になった人達にプレゼントを渡す

･高くて手が出せなかったコスメを買う

思いついたことをどんどんノートに書き留める
思っていたよりも私はやりたいことがあるみたいだ

『1年でやりきれるかなぁ』

そして最後の行
私は震えながら

･お母さんになりたい。

そう書いた

私は世界で1番母が大好きだった
私が1歳を迎える前に父は亡くなってしまった
亡くなってからも母は女手1つで私を育ててくれた
夢をずっと応援して背中を押してくれた
15歳というまだ若い年齢で芸能界に入った私
初めは誹謗中傷も多かった
心無い言葉を言われ続け何度も折れた
その度母が1番近くで支えてくれた

そんな大好きな母も私が20歳を迎えるまえに持病で亡くなってしまった

私は母のようになりたかった
私を育ててくれたよう、私も自分の子供に同じように育てたい
そう思った

でもそんな夢はもう叶わない

『っ、死にたくないっ、』

リミッターが外れたように涙が流れ続ける

『生きたいっ』

涙がノートに垂れ落ちどんどん字が滲んでいく

『誰か、』

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