雨（続き） ページ7
「行かない？みんなで行くほうが絶対楽しくて美味しいよ？」
このAの言葉に続いて大樹と杠も言い出した。
「千空行かないのか！？Aの言う通りみんなで食べたほうが絶対に美味しいと思うぞ！！俺は行きたい！！」
「私も！あ、私そのお店の割引クーポン貰ってたんだったな〜。一枚で二人割り引きで、それが二枚あるから四人分！どうしよう…一人分もったいないな〜」
そしてじっと三人の視線が俺に集まった。
コイツ等は卑怯だ。この三人に言い寄られると、俺が断れねえのを分かってやっている。
「どけ、実験の邪魔だ！」と言っても、視線が俺からそれる事はなく、しかもキラキラし始める。まるで子犬を相手しているかのようだった。
「〜〜ったく！分かった行く！一緒に行ってやんよ！！」
俺が参ったと諦めると、三人は顔を見合せ、
「「「やったー！！！」」」
とハイタッチして喜んだ。
はあ、と呆れた俺だが内心ではその様子が楽しかったはずだ。正直、コイツ等といると退屈しないし、不本意ながら、この三人に時間を割くのも惜しいとは思わない。
「だが、行きたいと思わせたのはお前らだ！！そのスイーツの店とやら、今から行くぞ！！」
「「「おー！！！」」」
そして俺の急な要望にも対応してくれる、Aと大樹と杠。既に行く準備万端の三人は、俺の片付けを待っていた。
俺はすぐに実験を中断して片付けを終わらせ、荷物を持つ。そして四人で科学部室を出て、生徒用の靴箱へと向かった。
数歩先の三人は「早く行こう」と俺を急かしてくる。子供かよと何度思ったことか。
俺らが外へ出た時には、雨はすっかり止んでいて、途切れた雲の間から光が射し込んでいた。
＿＿どうやらこっちも晴れたようだな。今、自分の目でしっかりと光を、風景を見ている。どうやら後を任せたかいがあったようだ。
「もう大声で叫ぶんじゃねえぞ。司に聞かれたら一発アウトだ」
「うむ、たしかに！」
「来てないよね、司くん？？」
辺りを見渡す大樹と杠。そして、声の主に気付いた二人は振り向いた。
「ククク、よ〜〜く首に気付きやがったな。大樹、杠、テメーらに100億万点やるよ…！」
「「千空(くん)……！」」
生き返れたのは正直嬉しい。しかし、さっき見た記憶と違って、ここにいるのは３人だけ。
もう一人＿そう、『A』が居れば最高の目覚めだったのに。
(行こう、っていつも始めに言ってくれるやつが居ねえと始まんねえよ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 281人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Dr.STONE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯(プロフ) - 大変でしょうが、更新楽しみにしてます！ (2022年3月9日 21時) (
レス) id: 221a720fce (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ（とりい）(プロフ) - ユーカリプタスさん» コメントありがとうございます！本当に長い更新停止になるので、申し訳ない気持ちでいっぱいです…。応援もありがとうございます！(泣) (2021年5月28日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
ユーカリプタス(プロフ) - 初コメ失礼します！受験か、懐かしい。いつもこの作品が更新されるのを楽しみにしてました！大変な時期ではありますが、体調などに気をつけて頑張ってくださいね！ (2021年5月27日 20時) (レス) id: 6cc1b97124 (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ（とりい）(プロフ) - 紗々さん» ありがとうございます！！これからも読者の方々に楽しんでもらえるよう、頑張ります！ (2021年3月27日 20時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
紗々(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白いです。更新無理のない程度に頑張って下さい。楽しみにしています…！ (2021年3月7日 21時) (レス) id: 41a73f412a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳥ゐ（とりい） | 作成日時：2021年3月2日 11時
