科学土産（千空side） ページ28
「そう千空。あなたの名前は『石神 千空』」
考えてみりゃ、おかしかった。最初にこの村を作ったのは誰か。コハクやルリ達の様に海外の血が混じってんのは何故か。
「一気に謎がとけた。おおかた巫女の伝承話＿百物語に出てくんだろ、俺が」
「はい。百物語 其之100 題名は『石神千空』」
やはり俺の名前があった。俺の推測……いや100億％確かなこと。こいつらの先祖初代は、俺の親父、百夜を含めた宇宙船の乗組員６人だ。
俺はそのことをルリ達に伝えた。
「つまり私達は皆、千空の親戚なのか……！？」
コハクはそう驚くが、既に何百世代も離れている。親戚もクソもねえだろうな。
ルリにはまだ聞きたいことが沢山あったが、この石神村の住人が新村長誕生の宴をするとかで、村は一気にお祭りムードになっていた。ルリも「行きましょうか、宴に」と、気を利かせて皆を宴に誘った。
その日、夜＿＿
日が沈み、月が出ても宴の盛り上がりは衰えなかった。
そんな中、俺はルリに連れられ、『創始者たちの墓標』がある場所へとやって来た。そこはいわゆる墓地の様な所で、これまでの死者の墓標も沢山あった。創始者たちのものと言い伝えられているそれは、丘の一番上で月の光を静かに浴びていた。
「物語の最後は千空さんのお父様からのメッセージです。『お前なら負けねー。０からだって文明を作り上げて全人類を救い出す。千空、お前なら必ず…！』と…」
そうルリは言う。それを聞いた俺は、その丘の一番上へと登った。
「そうか、とっくに、何千年も前にか……。なつかしいな……」
俺の目から涙がこぼれた。寂しいのか、悔しいのか、悲しいのか……何の涙かは分からねえ。
けど、これで気持ちの整理はついた。百夜はもうこの世にいない。でも、沢山の科学土産を残してくれた。それだけで十分……！
「ククク、テメーの科学土産が無きゃ詰んでたとこだ。数千年越しでありがたくいただくぜ…！」
「落ち着いたし村に戻るか」とそう思ったとき、俺は登ってきた方とは逆の方向に小さめの建物を見つけた。
俺はどういうわけかその建物が気になり、丘の下にいたルリに声をかけた。
「なあ、ルリ。あの建物は何だ…？」
「それですか…？それは女神様が祀ってある建物です。この場を守っているとも言われています。年に一度、その女神様に感謝と漁の豊作を願うお祭りもありますよ」
「俺が近付いてもいいのか？」
「はい。貴方はもう石神村の長ですので」
「…そうだったな」
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灯(プロフ) - 大変でしょうが、更新楽しみにしてます！ (2022年3月9日 21時) (
レス) id: 221a720fce (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ（とりい）(プロフ) - ユーカリプタスさん» コメントありがとうございます！本当に長い更新停止になるので、申し訳ない気持ちでいっぱいです…。応援もありがとうございます！(泣) (2021年5月28日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
ユーカリプタス(プロフ) - 初コメ失礼します！受験か、懐かしい。いつもこの作品が更新されるのを楽しみにしてました！大変な時期ではありますが、体調などに気をつけて頑張ってくださいね！ (2021年5月27日 20時) (レス) id: 6cc1b97124 (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ（とりい）(プロフ) - 紗々さん» ありがとうございます！！これからも読者の方々に楽しんでもらえるよう、頑張ります！ (2021年3月27日 20時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
紗々(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白いです。更新無理のない程度に頑張って下さい。楽しみにしています…！ (2021年3月7日 21時) (レス) id: 41a73f412a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥ゐ（とりい） | 作成日時：2021年3月2日 11時
