善い奴で…(千空side) ページ48
千空side
次の日の朝、俺はうっかりミスを犯してしまった。それはー
「やったぞ!千空ー!司ー!溜まってたぞ!洞穴の奇跡の水が!今度こそ本当に杠を助け出せるぞー!!」
大樹への口止めだ。
アイツはいつも起きたらすぐに、洞穴に奇跡の水ーー硝酸の溜まり具合を確認しに行くんだった。くっそ…いつもの事で忘れていた。
しかも司もバッチリ『洞穴』と『奇跡の水』というキーワードを聞いてしまった。さあ、こっからどうする…?
「なんだこりゃ、復活液一名様分にギリ足りねえじゃねえか。デカブツ、今から
もちろんこれは嘘だ。ソッコーで杠を生き返らせて逃げるための時間稼ぎにすぎない。これなら司は食いつくはず。復活液の大元おさえちまえば俺の計画は阻止できるんだからな。
「なら、一番速い俺が行くよ。だからその奇跡の水の場所を教えてくれないか」
食いついた。そして司は俺が伝えた洞穴の方向に走っていく。
「どういう事だ千空!?」
どうやら大樹は俺が微妙なサイズのツボを置いていたことに疑問を持ったようだ。そして俺は大雑把に司の事を伝えた。
「……何かあったんだな!俺のいない時に!」
「ああ、獅子王司は善い奴で、人殺しだ」
そこから俺は急いで復活液を作り、大樹に渡した。大樹はおそるおそる復活液をかけようとするが、いかんせん時間が無いので思いっきりかけてやった。
すると数秒後、『ピシピシッ』と指先から亀裂が入る。その亀裂は全身をめぐり、そして杠が
復活した。
その後、崩れる様に倒れる杠を、大樹が優しく抱きかかえる。
「分かるか杠ー!!」
「……大樹…くん?」
「ああ!すまん!3700年も待たせてしまった!!」
「なんにもわかんないけど、は〜んさてはこれ…大樹くんが助けてくれたんだね。ワオ、ありがとう…」
大樹は感激のあまり泣きじゃくっているが、感動の再会時に申し訳ない。しかも杠には何が何だか分からない状況だ。
「再開トーク中悪いが、司が戻る前に即決めろ!大樹と杠、テメーら二人で今すぐ逃げるか、全員で戦って司の殺人を止めるかー」
すると背後から声が聞こえた。
「殺してるっていうのは、うん、捉え方の問題だね。間引いてるんだ、新しい世界のために」
早い……もう帰って来やがった。しかも手には石片。自分の殺人を隠す気ゼロか…!
そう思っていると、大樹はとっさに俺と杠の前に出て言った。
「千空、もしもの時は杠を頼む。司は、俺が止める!!」
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のの - おもしろすぎませんか? (2022年4月26日 19時) (レス) @page50 id: 39b5b02acb (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ(とりい)(プロフ) - Nebelさん» コメントありがとうございます!こうして言葉として感想をいただけるのは、より嬉しくなりますね!これからも頑張ります!!! (2021年1月30日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
Nebel(プロフ) - 初コメ失礼します!ワイはこの手の話が大好きなんで、心情舞い上がっております(笑) 続きも楽しみにしています!頑張ってください!( `・∀・´)ノ (2021年1月28日 0時) (レス) id: 758ebcb85a (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ(とりい)(プロフ) - スモモさん» そう言ってもらえて嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年1月7日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
スモモ - ヴっ!!!いい!すごくいいっ! (2020年12月1日 22時) (レス) id: ba34499442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥ゐ(とりい) | 作成日時:2020年8月7日 22時