愛してるゲーム ページ41
ガヤガヤと騒がしい昼休みの教室。
「ねー千空、愛してるゲームしよう」
私は後ろを振り向き、唐突に言った。
「あ?『愛してるゲーム』だ?何だそのクッソつまんなさそうなゲームは」
そう言いつつ頭を上げた千空は、あからさまに嫌そうな顔でこちらを見る。
「名前の通りで、ただ『愛してる』って言うだけ。言われたほうが、照れたり笑ったりしたら負け、ってな感じのゲーム」
「うわ、クッソつまんね。俺パスな」
千空は即答で拒否し、顔をそらした。しかし甘いな千空、私がここで引き下がるとでも?
「ええ?やらないの?あ、やる前からもう恥ずかしいのか〜。でもたかがゲームだよ?本気じゃないのにねーって、もしかして私のこと好きなの?そっかそっか!私のことが好きで、恥ずかしがってるのか!千空、私も好きだよ!ア・イ・シ・テ・ル♡」
私はそう言って強引にゲームに持っていった。どんな反応をするのか楽しみだ。できれば本当に恥ずかしがってほしい。
しかし千空は千空だった。私の願望をぶち壊していく。
「きっっしょくわりいな!!何だよ『ア・イ・シ・テ・ル♡』って!!♡いるか!?」
あ、悪口を言われた気がする。いじめアンケートに書こうかな。
「そんなに俺をおちょくるならお望み通りやってやる。そのニヤニヤしてる面、真っ赤に染めてやるよ」
しかしどうやら誘導に成功したらしい。千空がゲームに乗ってくれる事になった。早速『愛してるゲーム』をやっていく。先攻は私だ。さっきとは変えて普通に言ってみた。
「愛してる」
千空の反応は……ない。もう一度、
「千空、愛してる」
またも反応がない。眉一つ動かすことなく、逆にじっと私を見据えてくる。待って、こっちが恥ずかしくなってきたぞ…
「愛してる」
ニコッとしてみても駄目だった。そしてその後何度繰り返しても、千空が照れる事は無かった。加えて、千空が全く私の言葉に反応しないことから、千空が私に好意を持っていないことも知る羽目になってしまったのだった。
終わりそうになかったので、私は諦めて負けを認めた。次は千空の番であるが、私は好きな人の『愛してる』に耐えられるかのだろうか。
気合いを入れなければ!と私が心の中で準備をしていると、
「これって『愛してる』以外でも良いのか?」
と千空が聞いてきた。
「多分良いんじゃない?相手を照れさせるゲームだから」
そう私は答えた。しかしこの答えが自分の首を締める事になるのを、私は気付いていなかった。
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のの - おもしろすぎませんか? (2022年4月26日 19時) (レス) @page50 id: 39b5b02acb (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ(とりい)(プロフ) - Nebelさん» コメントありがとうございます!こうして言葉として感想をいただけるのは、より嬉しくなりますね!これからも頑張ります!!! (2021年1月30日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
Nebel(プロフ) - 初コメ失礼します!ワイはこの手の話が大好きなんで、心情舞い上がっております(笑) 続きも楽しみにしています!頑張ってください!( `・∀・´)ノ (2021年1月28日 0時) (レス) id: 758ebcb85a (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ(とりい)(プロフ) - スモモさん» そう言ってもらえて嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年1月7日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
スモモ - ヴっ!!!いい!すごくいいっ! (2020年12月1日 22時) (レス) id: ba34499442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥ゐ(とりい) | 作成日時:2020年8月7日 22時