恋愛の「れ」の字も知らない科学少年【Dr. STONE】

短い目覚め ページ37

『……こん、に……しぃ……た。これ、……みさ…、に…ちが……な、…』


(……ん？こ、え？)

私はどこからか聞こえる誰かの声に、目を覚ました。辺りは真っ暗だ。加えて、寝過ぎて眠いような感じで頭がぼんやりとする。

(……私は、何を…？)

そして、意識がもうろうとする中で私は思い出した。

(両親たちと調査をしていて、気付いたら真っ暗闇の中で、動けなくなっていて…)

はっと我に返り自分の状況を確認したが、やはり動けないままだった。そして思った。

(どのくらい意識飛んでた？)

全く分からない。ずっと見えないままだし、当然時間も分からない。

『……うつ……い』

『こ、は……らで…、…る…きだ…』

またしてもどこからか声が聞こえる。

助けてと声を出したいが出すことが出来ない。そのため私は声を出すことを諦め、その声を聞こうと意識を集中させた。自分が今どんな状態かもその会話から分かるかもしれない。

『こんな……し…ぅ……お、ほか……や…いない……ろ』

『あぁ、……が、まに……い、しぃ…』

二人が喋っている、ただそれだけは分かった。何かに耳を塞がれているみたいで、話の内容を上手く聞き取る事が出来ない。

声の主である二人は話し続けている。

『……はこぶ、…し……ょう…に……』

(はこぶ？)

恐らく『運ぶ』、それだけは聞き取れた。

(何を？私を？)

そう考えた瞬間、私の意識が強く引っ張られていく。

(く、そっ！ま…た……。情報…を少し…でも…！)

そこでまたしても私の意識は途切れてしまったのだった。









※追記：すみません、しばらく千空sideが多いかもしれません

硝酸と苦労（千空side）→←再会（千空side）

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