動物〈有島武郎〉 ページ5
『…あ、有島先生！』
有「おはよう、Aさん」
なんと中庭を散歩していたら、有島先生に会った。
そこは緑の葉っぱが生い茂った木。図書館で一二を争うくらい太い木である。
その木に上半身を預けて座っていた。
『お一人ですか？』
有「あぁ、一人だ。だが、多分あと少ししたら志賀くんか武者さんが起こしに来てくれると思う」
『…いや、今起きてますよね』
有「寝てしまえば問題ないだろう」
有島先生はそう言っていたずらを仕掛けた子供のように少し微笑んで見せる。
『起きていようという意志がなさそうなところが有島先生のいい所と言うか、なんと言うか…』
有「それが僕だからな」
『…あ、もう割り切ってるんですね』
早々に結果を決めつけた私は、手持ち無沙汰になってしまったがために有島先生の隣に腰掛ける。
そして有島先生のお腹らへんにいた小さなものを見つけて、『あ』と声を上げた。
『仔猫！』
有「あぁ、そうだ」
「見るか？」と言って、仔猫を軽々と持ち上げた有島先生はそのままその仔猫を私のお腹らへんに置いてしまう。
え、嘘でしょ。
『ふ、ふかふかしてます』
有「仔猫だからな」
『…お腹らへんが温かいです』
有「それは仔猫が生きているからだ」
その言葉を聞いて、私は不意に有島先生の方を向いてその眠そうな横顔を眺めた。
至極真っ当はことを言われたのに、何故かその言葉の重みが重そうだっと感じてしまう。
どんな反応をした方が正解なのか分からなくて取り敢えず仔猫の頭を撫でてみると、その仔猫は小さな口でニャーっと声を上げた。
眠そうに目を瞑りながら。可愛い。
『…もしや猫被りかい？』
有「動物は嘘をつかないと聞いたが」
『じゃあ、この子の持ち味が良かったんですね』
生まれながらに持たされた神からのギフトだ。
皆に愛される性格も、顔も、態度も、全ては神からのギフトだと思っている。そのギフトの持ち味が良かったんだろう。
幸せ者め。
『…』
有「？どうした？撫でないのか？」
『…あ、はい。もういいです』
私は有島先生に押し付けるように仔猫を渡すと、勢いよく立ちあがってそそくさとその場を離れてしまった。
…馬鹿だなぁ、仔猫に嫉妬か…。
胸と頭の中がグチャグチャになっていくのが良くわかる。
それは、これから自分の昔と向き合わなくては行けない合図かのように思えて…。
私はどうすることも出来ずにその場にしゃがみこみ、静かに嗚咽を出した。
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新美悠華＠文アル大好き💛 - リクエスト良いですか？夢主ちゃんが死にたがってたらを秋声君と志賀さんで御願いして良いですか？ (2023年3月19日 9時) (
レス) @page25 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
新美悠華＠文アル大好き💛 - 秋声のどこが地味なん検討つかへんやるときはやる人なのにね (2023年3月19日 9時) (レス) @page10 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 朔さん» リクエストありがとうございます！！全然大丈夫ですよー！！私も坪内先生と司書ちゃんの絡み見てみたいですから！wwもう作品がいっぱいになっちゃったので次の作品で書いちゃいますね！ (2018年7月15日 7時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 長文失礼しました。 (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!!毎回毎回とても面白くて大好きです...!リクなのですが、テーマは何でもいいので坪内逍遙と司書ちゃんを絡ませてほしいです...!無理でしたら大丈夫なんです!!これからも更新頑張ってくださいね!! (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：法蓮草 | 作成日時：2018年5月28日 22時
