用意〈谷崎潤一郎〉 ページ34
私は今、どうすればいいのかという己の問に答えを見つけられないでいた。
私は静かに呼吸を整えて、そっと床に置いてある物を眺めてもう一度溜息を出す。
そしてその溜息と一緒に愚痴まで吐いた。
『…浴衣ってどう着ればいいのぉぉぉぉ…?』
そう、私は浴衣を着たことがない。
着物すらも七五三以外に着たことがない。
しかも七五三の時って着物屋さんで着させてもらったし…私なんか突っ立ってたらお終いだったし…。
どうしたものだろうか。
「Aさーん、支度はできましたかー?」
救いの手が舞い降りた←
『谷崎先生!!助けてください!!』
谷「えっと…?どうしたんです?」
『浴衣の着方がわからないんです!!』
次の瞬間、何かが吹き出す音が扉の向こう側で聞こえた。疑うこと無く谷崎先生のものだろう。
笑ってんじゃないぞ、おい。
『谷崎先生って浴衣の着付け出来ます?』
谷「えぇ、出来ますよ」
『!じゃあ着付けてもらってもいいですか?!』
谷「え、それは…Aさん的にいいんですか?」
どういうことだ?
私は何も分からずに『はい』っと答えると、谷崎先生は少し「えぇ…?」っと声を上げたが数秒あいて扉がゆっくりと開いた。
そして谷崎先生はキョトンっと此方を見る。
谷「あ、上着ていたんですね」
『?はい』
え、Tシャツもズボンも着てますよ。
え?!もしかして普通は着ないの?!!
カルチャーショックを受けていたが、谷崎先生はほっとしたような顔をして浴衣を拾い上げた。
谷「さて、早く着てしまいましょう」
『お願いしまーす!』
私は直立姿勢に入り、谷崎先生は羽織をかけるように私に浴衣を着せていく。
帯がどうなってるのか知りたいんだけどなぁ。
谷「それにしても…いい浴衣ですね。まさかAさんが浴衣を持っていたなんて」
『あ、昨日梶井に買いに連れてかれたんです』
谷「…そんなことだろうと思ってました」
ですよね。
こんな立派な浴衣持ってたなら私ですら驚きですよ。
しかもやばい事にこの浴衣、私一円も払ってないんだよね。梶井が全部払ってくれたの。
は?イケメンかよ?←
谷「あれ、髪はそのままなんですか?」
『え?はい、そのままです』
谷「…本気ですか?」
『突然のガチトーンやめてくれます?』
怖いわ。
谷「Aさん…折角の祭りなんですし、髪型を変えてみてはいかかですか?」
谷「私も手伝いますから、ね?」
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新美悠華@文アル大好き💛 - リクエスト良いですか?夢主ちゃんが死にたがってたらを秋声君と志賀さんで御願いして良いですか? (2023年3月19日 9時) (レス) @page25 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
新美悠華@文アル大好き💛 - 秋声のどこが地味なん検討つかへんやるときはやる人なのにね (2023年3月19日 9時) (レス) @page10 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 朔さん» リクエストありがとうございます!!全然大丈夫ですよー!!私も坪内先生と司書ちゃんの絡み見てみたいですから!wwもう作品がいっぱいになっちゃったので次の作品で書いちゃいますね! (2018年7月15日 7時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 長文失礼しました。 (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!!毎回毎回とても面白くて大好きです...!リクなのですが、テーマは何でもいいので坪内逍遙と司書ちゃんを絡ませてほしいです...!無理でしたら大丈夫なんです!!これからも更新頑張ってくださいね!! (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:法蓮草 | 作成日時:2018年5月28日 22時