鵲〈萩原朔太郎〉 ページ32
今日新たに追加された資料に目を通しながら筆を走らせていると、目の前に誰かしゃがんでこちらを見ている事に気がついた。
「おわぁ、A…大変そうだね。手伝うよ」
『え、いいの?!萩々!』
萩「うん、任せて」
『わぁぁ!!ありがとうー!じゃあ、これとこれに印鑑を押して館長の所に持っててくれるかな?』
そう言って、私は近くにあった資料を二枚萩々に差し出すと萩々は壊れ物を扱うかのように優しくそれを抱いて「うん」っと頷いた。
そしてそのまま出ていってしまいそうになったので、私は少し萩々を引き止める。
『あ、ちょっと待って萩々』
萩「?まだ頼むものあった?」
『あー、頼むものじゃないけど…少しお話しよ?』
すると萩々は嬉しそうに笑って私の近くに椅子を持ってきて座る。ちょこんっと言った感じに。
ぎゃんかわ。
萩「それで、今日はどんな話をする?」
『そうだなぁ、じゃあちょっとした質問をしよう』
萩「質問だね、分かった」
コクっと頷いた萩々を確認すると、私は筆を筆たてに置いて腕を組んでみた。
ずっと気になっていた事に決着をつけるために。
『男性って、彦星がやりたいのかな?』
萩「………えっと?」
突然の質問に萩々は困惑した表情と声を出す。
あ、ごめん。
『今日って七夕でしょ?気になっていたんだよね』
『まぁ、個人の質問だと思ってよ』っと萩々に返すと、萩々は少し考えて直ぐに此方を見た。
もしかして答えをちゃんと持っていたのかな?
萩「僕は、彦星になれたらなりたいけど…」
『けど?』
萩「…鵲でも良いかな」
へ?カササギ?
鵲って…アレだよね。織姫と彦星が会うために橋になってくれた鳥の事だよね?
…なんで?
萩「なんでって思ってる?」
『はぉ?!!な、何で分かったの?!』
萩「んー、最近Aの考えている事分かってきたんだよね。それくらいAの事見てるからかも」
くそっ!!何奴も此奴もイケメンじゃねぇか!!
そんなイケメン力にあてられていると、萩々は面白そうに此方を見て声をかける。
萩「ね、知りたい?」
『え、う、うん。知りたいかも』
すると萩々は何を思ったのか立ち上がって、私の方に歩み寄ると私の頭をゆっくりと撫でた。
それは、愛しい何かをめいいっぱい愛でる家族の様子とよく似ていた。
萩「それはね…誰かの幸せを手助けできる事ほど、嬉しいことはないからだよ」
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新美悠華@文アル大好き💛 - リクエスト良いですか?夢主ちゃんが死にたがってたらを秋声君と志賀さんで御願いして良いですか? (2023年3月19日 9時) (レス) @page25 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
新美悠華@文アル大好き💛 - 秋声のどこが地味なん検討つかへんやるときはやる人なのにね (2023年3月19日 9時) (レス) @page10 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 朔さん» リクエストありがとうございます!!全然大丈夫ですよー!!私も坪内先生と司書ちゃんの絡み見てみたいですから!wwもう作品がいっぱいになっちゃったので次の作品で書いちゃいますね! (2018年7月15日 7時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 長文失礼しました。 (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!!毎回毎回とても面白くて大好きです...!リクなのですが、テーマは何でもいいので坪内逍遙と司書ちゃんを絡ませてほしいです...!無理でしたら大丈夫なんです!!これからも更新頑張ってくださいね!! (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:法蓮草 | 作成日時:2018年5月28日 22時