診察〈森鴎外〉 ページ17
『…痛い、かも』
背中に手を伸ばして、十年くらい前に出来た大きな穴の淵…傷跡をなぞりながらため息を零す。
ここ数日、その傷跡が痛い。
こんなに痛くなったことなんて無かったのに…。
もう一度大きくため息を零してから、めくれ上がったシャツをズボンの中に突っ込んだ。
そして気がつく。
『何か用でしょうか？森先生』
森「…気がついていたのか」
『いいえ？ついさっき気がつきました』
そう言って壁の方にはにかむと、壁の影から出てきたのは白いマントを翻した森先生。
しかしその表情は心做しか暗い。
『最近は梅雨時期で皆さんお疲れですか』
森「…それだけではないだろう」
『と、言いますと？』
私が首を傾げてみたら、森先生はやれやれっと言った感じに肩を竦めた。
え、なんですかそれ。
森「分からないのか？」
『…すみません、分かりかねます』
いや、本気で分からない。何のことだろう？
すると森先生は私の方に歩み寄り、
私の手首を掴んだ。
『……………ッ？！！！！』
暗い部屋。
窓の外には紅い満月。
私の手首を掴んでいるのは…
(…すまない…A)
『…ッいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！』
映像が終わる。
何時もの司書室。
窓の外には紫陽花が咲いている。
私の手首には、何も無い。
当然だ、私が森先生の手を振り払ったからである。
目の前には今しがた私によって手を振り払われた森先生が目を丸くしながら此方を見ていた。
『…あっ』
やってしまった。
『すすすすす、すみません！』
森「いや、大丈夫だ」
森先生は何ともないっと言った感じに手を少し振って否定してくれたが、此方はそうはいかない。
何せ自分の都合で森先生を拒否してしまった。
これはあってはならない。
何とか言葉を紡ごうとワタワタしていたら、森先生は何かを考えたかの様に目線を一瞬床に落としてから意を決したかのように口をぐっと閉めた。
森先生「A、単刀直入に聞こう。君の背中にある傷跡は、一体なんだ？」
『…？あ、これですか』
私は森先生に背中を向けて、シャツを少し捲り上げる。おぅ、すーすーするぜ。
森「…ッ？！な、なんだそれは」
『え、仰っていた傷跡ですけど』
まぁ、こんなの見たら最初は誰でも驚くか。
『これは、幼い頃に出来た手術痕ですよ』
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新美悠華＠文アル大好き💛 - リクエスト良いですか？夢主ちゃんが死にたがってたらを秋声君と志賀さんで御願いして良いですか？ (2023年3月19日 9時) (
レス) @page25 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
新美悠華＠文アル大好き💛 - 秋声のどこが地味なん検討つかへんやるときはやる人なのにね (2023年3月19日 9時) (レス) @page10 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 朔さん» リクエストありがとうございます！！全然大丈夫ですよー！！私も坪内先生と司書ちゃんの絡み見てみたいですから！wwもう作品がいっぱいになっちゃったので次の作品で書いちゃいますね！ (2018年7月15日 7時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 長文失礼しました。 (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!!毎回毎回とても面白くて大好きです...!リクなのですが、テーマは何でもいいので坪内逍遙と司書ちゃんを絡ませてほしいです...!無理でしたら大丈夫なんです!!これからも更新頑張ってくださいね!! (2018年7月15日 2時) (レス) id: f66b36a2fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：法蓮草 | 作成日時：2018年5月28日 22時
