心遣い〈アオ〉 ページ48
仕事が多い。
いや何時も多いけど今日は何時もの倍はありそう。
そしてこれがまた大変なんだけど。
『…あ〜…ッ』
そう、これが大変なのだ。
目尻を抑えながら椅子の上で身を縮こませていると、扉の方かコンコンっとノック音が聞こえる。
生憎疲れが溜まっているので少し休ませてほしい。
『はーい、どうぞー』
「失礼します」
…お、この声は。
目をうっすらと開けてみると、此方を訝しげに見ているアオ君の姿がぼやぼやっと見えた。
なんだその目は。
アカ「…お疲れですね」
『お疲れですよ』
文章を見るのは好きだけど、ここまで見る時間が長いと流石に気が滅入ると言うか…。
軽くゲシュタルト崩壊が起こる。
そんな司書の顔を見届けていたであろうアオ君が、持っていた資料を抱え直しながらじっと此方を見続けている。
『…?何か付いてる?』
アカ「目と鼻と口が付いてます」
『いや、付いてなかったら怖くね?』
もしかして付いてないのが普通なの?そんなわけないよね?館長も、アカ君も付いてるよね?
次は此方が訝しげにアオ君を見ると「冗談ですよ」と言われた。
『…そうだ、アオ君何か甘いもの持ってる?ココ最近疲れが溜まっててさ〜』
アオ「僕はアカではないので持ってないです」
『待って。それって言ってしまえばアカ君は何時も甘いものを持っているということか』
アオ「そうですね、チョコや飴が入ってます」
なんだその謎に胸きゅんポイント高いの。
でも考えたらこの間もお菓子もらったし、納得できると思えば納得できるかも?
アオ「因みに僕は何時も七味を持ってます」
『食堂に置いてあるでしょ、七味』
アオ「マイ七味ですよ」
『美食家か』
二人とも好きなものは常備しちゃうタイプだ。
そんな研究員の新たな一面が分かると、アオ君は少し考える素振りをした後自分が持っていた資料に目を向けた。
あ、もしかして持ってきてくれたのか。
『ありがとう、それ預かるよ』
そう言って手を伸ばすと、アオ君はその資料を私から遠ざけた。
…反抗期?
アオ「いえ、之は僕の資料です」
『え、じゃあなんで司書室来たの?』
アオ「…暇だったので」
『資料持ってたのに?』
アオ「…………………………」
…いや、その資料絶対私のだよね?!!
困惑してそのまま固まっていると、アオ君はポツリと言葉を零す。
アオ「…僕がやりますから、少し休んでて下さい。倒れられたら心配ですし」
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結愛 - 文アル歴早三年このお話お気に入りになった (2023年3月18日 22時) (レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 最中さん» わー!!ありがとうございます!!!これからも精進していきたいと思います!! (2018年8月27日 22時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
最中 - 文アル最近始めたんですけど、この小説好きです!これからも頑張って下さい! (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 下野月さん» わー!ありがとうございます!!これを励みにもっともっと頑張ります!!(°▽°) (2018年5月15日 14時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
下野月(プロフ) - いつも読ませてもらってます!法蓮草さんの書く小説は本当に大好きです!これからも頑張って下さい! (2018年5月15日 13時) (レス) id: 18e714d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:法蓮草 | 作成日時:2018年4月6日 21時