激辛〈三好達治〉 ページ43
目の前には、作ったカレーがあった。
味見用に使ったお玉と小皿を静かに置き、私は力んだ眉間ら辺をほぐしながら溜息をつく。
そう、カレーを作った。そこまでは良かった。
しかし、問題はルーの方だ。
辛口にしてしまったのである。
しかも辛いと有名な会社のルーで作った。
何を隠そう私は辛いモノが超がつくほど苦手だ。
別に食べられない事は無い。
けど、甘いもの好きで通してきたこの道は、何時からかキムチですらも辛いと言って水をがぶ飲みするまでにはやられていた。
確信しよう、私の舌は子供舌である。
そんな野郎が辛口のカレーを一人前食べられると？
答えは簡単、ＮＯだ。
無理である。子供に辛口を食わせるようなものだ。
子供泣き叫ぶぞ。
もう一度溜息をついてから、腕を組んで辛口カレーが入った鍋を凝視する。
そうだ、誰かに食べさせよう。
『…あー、でも織田作は有魂書に潜書中かぁ…』
あと三時間は帰ってこないや。
幣図書館一のカレー男がいないとなれば、誰にこの激辛カレーを贈呈しようか…。
いや、いっそのこと意を決して食べるか…？という考えをした時。不意に厨房の暖簾が上がった。
「七味、七味っと…って、あれ？Aさん？」
『…おぁぁぁ！！三好君んんんんんんんッ！！！』
余りの感動に入ってきたばかりで状況もろくに分かっていない三好君に抱きつく。
『助けて三好君んんんんんんん！！！！！』
三「わ、分かったッス！分かったッスから少しの間退いてください！！！苦しいッス！！」
ジタバタっと男性にしては少し小さい体で抵抗している三好君の言う通り、一回解放する。
耳まで見事に赤くさせている三好君は息を整えると苦笑しながら「で、どうしたんスか？」と優しい声で聞いてきてくれた。
なにその謎のイケメン力。
『三好君って私が辛いの無理って知ってるっけ』
三「あー、そういえばそう言ってたッスね。あ、もしかしてカレーのルーを間違えて辛口に？」
『しちゃいましたね、うん』
引きつった笑みを浮かべてカレーが入った鍋を指さしながら三好君を見る。
『えっと、食べてくれる？』
三「なんだ、そんな事ッスか！お安い御用ッス！」
それに丁度お腹も空いてたんで！っと言ってくれたので、早速お皿に米とルーをのせて三好君に渡す。
すると直ぐにパクパクっと食べていってしまった。
流石、辛いモノ好きなだけあるなぁ。
三「めっちゃ美味いッス！」
『おわぁ、良かった』
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結愛 - 文アル歴早三年このお話お気に入りになった (2023年3月18日 22時) (
レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 最中さん» わー！！ありがとうございます！！！これからも精進していきたいと思います！！ (2018年8月27日 22時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
最中 - 文アル最近始めたんですけど、この小説好きです！これからも頑張って下さい！ (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 下野月さん» わー！ありがとうございます！！これを励みにもっともっと頑張ります！！(°▽°) (2018年5月15日 14時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
下野月(プロフ) - いつも読ませてもらってます！法蓮草さんの書く小説は本当に大好きです！これからも頑張って下さい！ (2018年5月15日 13時) (レス) id: 18e714d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：法蓮草 | 作成日時：2018年4月6日 21時
