御褒美〈萩原朔太郎〉 ページ18
「…今回の潜書、上手くいったよ」
そう云い、しゃがみながら机の縁を遠慮がちに掴んでいる萩々が上目使いに此方を見ていた。
司書を萌え死にさせる気か貴方。
なんとか理性で耐え抜き、微笑みを返す。
『そっか、それは良かった。じゃあ、侵食をくらった方から順に補修室へ入ってきてって伝えてきてくれるとありがたいな』
椅子から立ち上がりながら萩々に指事を出す。
補修する時、アルケミストである私の力がないと補修出来ない。だから補修室まで足を運ばなくてはいけないのだ。
…遠距離で出来ないかな…。
資料を片付けようと手を伸ばしたが、萩々が此方をジッと見てくることに疑問を感じて手を止める。
『どうしたの?』
萩「…あっ、いや…皆に声かけてくるよ」
萩々はハッと我に帰ったかのような反応をすると、ワタワタと司書室から出ていった。
焦りすぎてか廊下で転んだ音聞こえたけど…。
変な萩々。
『……疲れた』
一人ポツリと呟きながら、最後の補修を終えた南吉君を送り出す。
私も司書室に戻らなくてはと補修室の扉に手をかけギョッと目を見開いた。
『は、萩々……?!!』
萩「あ、A…お疲れ様」
ヘニョっと云う効果音が付きそうなほどの笑顔を向けてきたのは、廊下で壁に体重を預けながら体育座りをしていた萩々だった。
しかも又もや上目使いで。
だからッ殺す気かッ????!!!!!!!!←
『…な、何で此処に?犀ならだいぶ前に補修終わったよ?入れ違いになっちゃったかな』
萩「ううん、犀なら会ったよ。先に食堂に行っててって伝えておいたから大丈夫」
『そっか、なら何でここに?』
もしかして忘れ物でもしたのかな?
ちゃんと補修室の中は確認したのに…。
チラッと萩々の方に目線を移すと、よっこいしょっと立って此方より高い背を上げると、恥ずかしそうに頬を染めながら微笑まれた。
萩「今日、潜書頑張ったから…Aに頭撫でて欲しいなって。…駄目、かな」
『……………………ふぁー…』
喇叭みたいな声が出た←
もう萩々可愛すぎかよ…結婚しよ?私が夫になってあげるから…養ってあげるから…。
『もー!お安い御用だよ〜!』
ガバッと抱きつく様に萩々に近づくと、そのまま犬を撫でる様にわしゃわしゃと撫で回した。
背が高かったからしゃがんでもらったけど。
『萩々は何時も頑張ってるもんね、偉い偉い』
萩「…あ、ありがとう…」
凄く嬉しいよ。
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結愛 - 文アル歴早三年このお話お気に入りになった (2023年3月18日 22時) (レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 最中さん» わー!!ありがとうございます!!!これからも精進していきたいと思います!! (2018年8月27日 22時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
最中 - 文アル最近始めたんですけど、この小説好きです!これからも頑張って下さい! (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 下野月さん» わー!ありがとうございます!!これを励みにもっともっと頑張ります!!(°▽°) (2018年5月15日 14時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
下野月(プロフ) - いつも読ませてもらってます!法蓮草さんの書く小説は本当に大好きです!これからも頑張って下さい! (2018年5月15日 13時) (レス) id: 18e714d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:法蓮草 | 作成日時:2018年4月6日 21時