37話 ページ37
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なんとか駅に辿り着くと、同じように足元をべったべたに濡らした人々がちらほらいるだけだった。
この時間に帰ることはあまりないから、こんなに人がいないものかと驚いた。
ちなみに、俺達が濡れているのは歩いている途中で土砂降りになった雨のせいだ。
もう、バケツどころの騒ぎじゃない。
池をそのままひっくり返したみたいな量だった。
時間的にはほんの数分程度のものだったのに。
これがあるから梅雨は嫌だ。
隣のAはもはや楽しくなってきたのか、笑いながら髪の水分を払っていた。
Aの髪は白福さんよりずっと長くて、毛先が随分と濡れていた。
すとんと一直線に落ちている。
白福さん、お風呂沸かしてくれたかな。
A風邪引かないといいけど。
「あ、音駒」
唐突に耳に届いた声に、反射的に向かう先を見れば確かに、音駒の制服を来た学生の集団がいた。
知った顔はいない。
バレー部じゃないってことだ。
なら何故？とAの方を振り向くと、少し罰が悪そうにしながらあー、とかうー、とか迷った後、
「…女の子の方、音駒行ったの」
とだけ呟いて、小さな唇を噤んだ。
…………青くなってる。
「着てて。ちょっと濡れてるけど」
「え？いやいいよ、寒いでしょう赤葦」
「俺はこのくらい平気なの。いいから、ね？」
ちょっと屈んで押し込むようにヘーゼルを見つめると、まだ何か言おうとしていたのがピタリ止まった。
Aがこれに弱いって最近発見したんだよ。
「ずるい赤葦」
「さっきの仕返し」
「？何もしてないよ」
「どうだかね」
恨めしかったんだから俺は忘れない。
君に自覚が無くてもね。
大人しく俺のブレザーを羽織るAはいい子だ。
サイズが違いすぎてスカートまで隠れそうになってる。
俺が普段着ているものを纏っているのはいいな、と思って安心したから変態かもしれない。
「その子には、あの後会ったの？」
それでも目線の先には音駒の学生がいるから、そんな言葉がつい、口をついて出た。
心が狭い、なぁ。
でも許して欲しい。何せ今日見てしまったばかりなのだ。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます！お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました！引き続きよろしくお願いします！ (2019年6月30日 15時) (
レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです！ (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛鳥 | 作成日時：2019年5月4日 23時
