検索窓
今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:52,309 hit

33話 ページ33




びっくりすると混乱して、何も考えられなくなって。



人の感情を真っ直ぐに向けられると動揺して、どう行動していいか分からなくなる。


焦るんだと思う。怖いんだと思う。

自分の知らないものが目の前にあることが怖くて、不安になるから、それを理解することよりも困惑が勝ってしまって動けなくなる。






「……奈子」

「Aおはよ……ちょ、どうしたの顔真っ白」





学校に着いてすぐに奈子の所に行った。


さっきあったことを話すと、奈子は手を震わしてごめん、と呟いた。





奈子は全部知っていた。

実際彼女と彼女の友人達が噂してるのを聞いたことがあるという。それも何度も。



私が傷つくと思って必死に隠してきたのだと、辛そうに言った。









その日の授業は頭に入らず、彼女に言われた言葉と、奈子のごめんと謝る声が響いていた。








でも私だって、時間をかけて考えればちゃんと理解できる。

冷静になるのが遅いだけ。





周りはそれを待ってはくれないけど、奈子は待ってくれるから、その日一日奈子とは一緒にいたけど話はせず、ずっと考えさせてもらった。



そうして、本当に、遅いと言われてしまうけれど。

その日の午後やっと、全てを理解して、感情が湧いた。




思えば、今の今まで完璧に知らないでいるなんて普通、ありえないのだ。


学校はそんなに巨大なわけじゃないし、誰もが使う公共スペースなんていくらでもある。



奈子と一緒に行動していたのに、奈子だけが何度も陰口の現場に出くわすなんておかしい。




それでも私は知らなかった。
奈子は隠し通した。




それが、どれだけ大変な努力だったか。
どんな気持ちになるものだったか。


想像して、心臓を潰されそうになった。






失礼な人間だと思った。



意思の弱さを理由にして、人を傷つけた。


人の気持ちを汲み取ることを諦めて、感謝もせずにのうのうと生きてきた。




その気もないくせに、応えられないくせに、彼を引き止めて。

本当に彼を思ってる彼女を傷つけて。


誠意のない、二人に対して失礼な行動。

どっちも、本気だったのに。

本気で思ってたし、本気で思われていたのに。



だからこそ、


ちゃんと断れたらよかった。
諦めなければよかった。

もっと必死に、なればよかった。




そんな後悔が溢れて零れていった。



34話→←32話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
132人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 赤葦京治   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました!引き続きよろしくお願いします! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです! (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年5月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。