33話 ページ33
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びっくりすると混乱して、何も考えられなくなって。
人の感情を真っ直ぐに向けられると動揺して、どう行動していいか分からなくなる。
焦るんだと思う。怖いんだと思う。
自分の知らないものが目の前にあることが怖くて、不安になるから、それを理解することよりも困惑が勝ってしまって動けなくなる。
「……奈子」
「Aおはよ……ちょ、どうしたの顔真っ白」
学校に着いてすぐに奈子の所に行った。
さっきあったことを話すと、奈子は手を震わしてごめん、と呟いた。
奈子は全部知っていた。
実際彼女と彼女の友人達が噂してるのを聞いたことがあるという。それも何度も。
私が傷つくと思って必死に隠してきたのだと、辛そうに言った。
その日の授業は頭に入らず、彼女に言われた言葉と、奈子のごめんと謝る声が響いていた。
でも私だって、時間をかけて考えればちゃんと理解できる。
冷静になるのが遅いだけ。
周りはそれを待ってはくれないけど、奈子は待ってくれるから、その日一日奈子とは一緒にいたけど話はせず、ずっと考えさせてもらった。
そうして、本当に、遅いと言われてしまうけれど。
その日の午後やっと、全てを理解して、感情が湧いた。
思えば、今の今まで完璧に知らないでいるなんて普通、ありえないのだ。
学校はそんなに巨大なわけじゃないし、誰もが使う公共スペースなんていくらでもある。
奈子と一緒に行動していたのに、奈子だけが何度も陰口の現場に出くわすなんておかしい。
それでも私は知らなかった。
奈子は隠し通した。
それが、どれだけ大変な努力だったか。
どんな気持ちになるものだったか。
想像して、心臓を潰されそうになった。
失礼な人間だと思った。
意思の弱さを理由にして、人を傷つけた。
人の気持ちを汲み取ることを諦めて、感謝もせずにのうのうと生きてきた。
その気もないくせに、応えられないくせに、彼を引き止めて。
本当に彼を思ってる彼女を傷つけて。
誠意のない、二人に対して失礼な行動。
どっちも、本気だったのに。
本気で思ってたし、本気で思われていたのに。
だからこそ、
ちゃんと断れたらよかった。
諦めなければよかった。
もっと必死に、なればよかった。
そんな後悔が溢れて零れていった。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました!引き続きよろしくお願いします! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです! (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年5月4日 23時