27話 ページ27
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毎日毎日雨ばかり。
じとじとした空気は昼夜問わず続いて、晴れればむわっと暑くて、紫陽花はこれでもかと綺麗に咲いている。
とうとう東京も梅雨入りしたと、今朝ニュースキャスターが告げていた、そんな日の午後。
例に漏れず雨が降っていた。
その日は運が良いのか悪いのかは置いておいて部活が珍しくオフで、これは確実に運悪く日直を任されていた。
背中をばしばし叩いて去っていくクラスメイト達を見送って、黒板消して日誌書いて。
教卓に置いてっていいと言われたからその通りにし、まあなんとも真面目に仕事をこなした。
最後に窓の鍵をチェック。ついでに覗いてみたら、結構強い降り方だった。
これは濡れるの覚悟で帰らないといけないな。
シャツが体にべったりと張り付く感覚を思うとやや気落ちするけれど、いつまでも居座るわけにはいかないし。用事もないし。
全てが詰め込まれてるエナメルを引っ掴んで、若干滑る廊下を昇降口目指して歩く。
右に曲がったのは気まぐれだった。
六組は真ん中にあるから、右でも左でも、どちらの階段を使おうが歩く距離は一緒だった。
でも右には三組があること。
気づいた時にはもう遅く、俺の耳はきちんとその音を拾い、脳はそれを正しく処理した。
「好きです、白福さん」
ああ、と思った。
なんで無意識に猶予を持たせていたんだろう。
それでセーブしてたつもりか。
まだ大丈夫って安心したかった？
いつかなんて無いだろ。
正しいのは、もう既に、だ。
思わず止まって身を屈めた。
けどはっとする。いいのか？これ。
そのまま通り過ぎれば開いた扉から俺が見える。
かといって盗み聞きというのもどうなんだろう。
そもそもこの状況二人が出てきた時どう説明すれば……
どうしようもない。
どうにもできない。
聞きたくない。
立ち去りたい。
けど、自分の思考くらい自分が一番分かってる。
色々考えは巡るけど、プライドとか恥とか、何もかもとっぱらって最終的に残る欲は。
聞きたい、だろ。
「ごめんなさい、私、応えられません……」
そこからは早かった。
二言三言、二人は言葉を交わして。
最初に出てきたのは男子の方。
バレる、心臓が冷たくなったけど、彼は反対の扉からこちらに背を向けて出ていった。寿命縮んだと思う。
冷水を頭から被ったみたいに、体の末端全てが凍えていた。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます！お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました！引き続きよろしくお願いします！ (2019年6月30日 15時) (
レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです！ (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛鳥 | 作成日時：2019年5月4日 23時
