26話 ページ26
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へぇ、意外。
練習試合の相手は、寝不足なのか猫っぽい目をきつく瞬かせ、ドリンクを飲み干して、そう一言。
髪、プリンになったな。
「赤葦もそんなふうになるんだね」
「孤爪って俺の事なんだと思ってるの」
「そういうわけじゃないけど」
壁に背中を預けて体育館内を見渡した孤爪は細い手を持ち上げて、人差し指をうろつかせる。
ゆらりゆらり漂った指は、ある一点を差した。
「いた。あの子だよね?高いとこで結んでる」
「ポニーテールね。そうだよ」
「ふうん………………かわいいね」
「ん………………」
じくり。刺されたように痛い。
殆ど音にもならない返事をしてしまうくらいには自分が嫉妬深いのだと自覚した。
でもふっと横を向くと見えたのはくつくつと揺れるプリンで。
からかわれたのだと気づいた。
くそこいつ、ゲーム機にコーラかけてやろうか。
「赤葦顔怖い」
「孤爪がふざけるからだろ」
「ふざけてないよ、実験しただけ」
十分ふざけてるよ。
ムカついたからセンター分けをぐしゃっぐしゃにしてやった。ざまあみろ。
同じように口を尖らせた孤爪は、俺に反撃しようと背を伸ばす。
正確には、伸ばそうとしただけで終わったけど。
「あの、休憩終わり、です……ボトル、ください」
なんで敬語?
声を掛けてきたAの視線の合わなさに疑問を抱いたけど、ヘーゼルの向かう先を見て納得した。
あぁ、孤爪か。
孤爪身長いくつだっけ。170あるかないかくらいだった気がする。
それでもダメなのか。
それとも単純に人見知りだったりするんだろうか。
それはいいけどなんか、
「赤葦、ボトル……」
「あ、うん。え、A?」
「なに?」
「顔赤いけど、大丈夫?」
指摘すると、更に赤が増していく。
それから少し怒ったようにこちらを見上げて、赤葦のせいでしょ、とぽつり。
正直に言うと、全く身に覚えがなくて焦っている。
何かしたっけ。ほんとに分からない。
混乱して戸惑ってるうちに、ぐるりと回れ右してAは行ってしまった。
「赤葦、俺、押して頑張ればいける気がする」
「どこが?孤爪今の見てた?」
大丈夫、と謎の激励を送った孤爪も行ってしまう。
なんなんだろう一体。
なんて、悩んでいるうちの方が良かったかもしれない。
結論から言えば、いつか、なんて
初めから無かったのだ。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました!引き続きよろしくお願いします! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです! (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年5月4日 23時