23話 ページ23
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信じられないくらい速く波打つ鼓動がぐんぐん体温を上げていく。
背中を伝うのは冷や汗だ。
声を注いだ人物は怪訝そうに片眉を上げて告げる。
「赤葦君に聞きたいことがあるんだけど」
「な、に？柳原さん」
全くの気配無く、いつの間にか横に立っていた柳原さんは、ついさっきまでAのとこで昼食をとっていたはずだ。
なんだろ、初めて喋った……ていうかAは？
そうっと視線をそちらへやると、Aは機械的に咀嚼していたサンドイッチを片付け、机にべしゃんと突っ伏していた。
え、死んでる？
「こらA！サボらない！！」
「だっ、サボってないもん！」
びっくりした。柳原さんが急に大声上げるもんだから。
それはAも同じなようで、早急に起き上がって謎の反論。
よく見れば手にはシャーペンが握られている。
「それで、聞きたいことなんだけど……」
「ああ、何？」
「今日、数Bのテスト返されたでしょ？大問七、合ってた？」
「あ、ってた……けど」
「なら教えてあげてくれない？」
あの子に、と指差された先を辿るとそこにはまたしても死んでるAが。
ああ…柳原さんがイラッとしてる……
「さっきからずっとあの調子なの。分かんない分かんないってしょぼくれてるから」
「いや、え、なんで俺？」
「なんでって……赤葦君Aのヒーローでしょ？」
ちょっと理解が出来なかった。
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「Aちゃーん。先生連れてきたよ」
「先生って、赤葦は先生じゃなくて高校生だよ」
「教えてもらうんだから先生だよ」
ぴたっとAの動きが止まる。
そんなのお構い無し、といったふうに柳原さんは近くの席の椅子を持ってきて彼女の隣に置いた。
どうぞ？という視線を感じる。
ちょっと迷ってから大人しく座ることにした。
「え？まってどういう人選？」
「あんたら部活一緒でしょうが。このまま疑問点放っておいて期末やばかったらマズイんじゃないの？マネでしょ？選手に助けてもらいな」
「いやいやいやいや」
僅かに腰を浮かせたAはそこで一旦押し黙って、シャーペンを手放した。
ヘーゼルが困ったように揺れて、迷ったように彷徨よって。
最後はじっとりと恨めしげに柳原さんを見上げた。
「やめておいた方がいいって言ったの、奈子でしょう」
何がだろう、と。
ぼんやり見ていることしか出来ない。
なんでだか、Aが泣きそうに見えた。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます！お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました！引き続きよろしくお願いします！ (2019年6月30日 15時) (
レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです！ (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛鳥 | 作成日時：2019年5月4日 23時
