22話 ページ22
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まあつまりは、俺の中でAが寡黙というイメージは無い。まっっったく。
無いけど、一年の前半、か。
まだAに出会ってない頃だ。
そこに、俺の知らないAがいる。
「でもそれがクールと呼ばれる由縁だろ」
「いやー、一回でいいから話してみてーなあ」
「なら声掛けてこいよ」
ぐつり、また何かが沸騰する。
それは怒りでもなくて、不安に近いけどそうでもなくて。
ガキっぽい、拒絶反応だ。
誰の目にも映らなければいいのに、と。
絶対不可能な願いを抱いてしまうほどにはガキくさい。
早くこの話題終わってくれ。それだけを願った。
「でもぶっちゃけ、あーいうのは見てる方がいいだろ」
「確かにな。高嶺の花っつって」
「俺今度からあの子のこと高嶺さんって呼ぼうかな」
「いやもはや誰だか分かんねえ、よ、って赤葦顔怖っっっ!!」
もんもんと黒さに身を沈めて黙っていると急に声がかかって、引き上げられた。
思わず肩が揺れる。
「能面、能面がいる!」
「どした赤葦体調悪い?腹いてえの?」
「なぜ腹限定」
「お前それ以上表情消して何になるつもりだよ……」
「あ、いや、別に。腹は痛くないし人間以外の何かになる予定は無い」
「あそう。なら赤葦はどう思う?」
ペットボトルを引き寄せる手が止まる。
何を、なんて聞かなくても分かる。
好奇心に煌めいた目が一斉に向けられて、こいつらもしや俺の気持ち知ってるんじゃ、なんて憶測が一瞬頭を過ぎったが。
それは無い。うん、無い。
こいつらにそんなことを汲み取る力は無い。
なぜならアホだから。
「可愛いと思う?」
「…………」
「お前この手の話乗ってこないからなー。可愛いか可愛くないかだけ言えよー」
隣のヤツに肘で小突かれた。
滑ってなかなか開かないペットボトルのキャップを誤魔化すように回して黙っても、沈黙が続くだけ。
「……………………まあ、かわい、」
「ねえ赤葦君」
ガタンガタンッ。
全員、大袈裟に机に足をぶつけた。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました!引き続きよろしくお願いします! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです! (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年5月4日 23時