17話 ページ17
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初めて降りた駅とあって、周りの景色を物珍しそうに眺める赤葦を、改札まで案内する。
ここからは徒歩だ。
そんなに遠くない。近くもないけど。
もう随分欠けているから月の明かりはそこそこで、街灯の光に負けている。
星もあんまりよく見えない、いつも通りの帰り道。
に、いつも通りじゃない赤葦がいる。
高校で知り合った人と地元を一緒に歩くって変な気分。
暖かくなってきたけど、夜はまだ風が冷たかった。
「しら、Aはさ」
きっちり車道側を歩いてくれる赤葦はまだ名前呼びに慣れないようで、電車の中でも何度も白福と呼んだ。
何回言われても間違えてるのが面白くて、頑張って堪えようとしても笑いが漏れてしまう。
そうすると拗ねた顔するけど。
ちょっと可愛い。
これもフィルターかな、ううん、恥ずかしい。
自分の思考が甘々だ。今知った。
「なんでマネやろうって思ったの？」
「あー、お姉ちゃんとかおりちゃんが頼み込んできたから」
「あぁ…確かに後輩マネ欲しがってたな」
「最初は断ってたんだけどね」
高校に入学した当初も何度か誘われたけど、その時も部活に入る気はなかったからずっと断っていた。
けれど、来年になればお姉ちゃん達は三年生で、その次は卒業で、
その時その時に新しくマネが入ってくるなんて、当時の私達には分からないから。
もしそのまま卒業して、強豪と言われている梟谷にマネが一人もいなくなってしまったら、それは選手にとって負担だろうと。
そう考えた二人に、去年の秋ぐらいから再び勧誘されるようになった。
それはもう、熱烈に。
断る私に、正に手を変え品を変え。
学校ではかおりちゃんがわざわざ会いにくるし、家ではお姉ちゃんが隙さえあれば言い寄ってくる。
朝起きて挨拶かのように言われ。
ご飯中も絶えず良さをプレゼンされ。
家のどこに居ても着いてくるし、時には駄々っ子のように縋られた。
「入るまで通してあげないから〜！」とか言って通せんぼされたし。
もうなんでもいい。
この毎日の猛攻撃が終わるならなんだっていい。
そんな思いが日に日に強くなって、ついに私が折れた結果が今だ。
そう説明すると、なんとも同情的な目を向けられた。
やめて悲しいから。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます！お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました！引き続きよろしくお願いします！ (2019年6月30日 15時) (
レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです！ (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛鳥 | 作成日時：2019年5月4日 23時
